「地方創生どころか地方壊滅」ガソリン高騰で石破総理に怒りの声

 言うまでもなく、ガソリンの元となる原油価格は世界の経済や石油需給動向などにより日々変動しているが、日本における石油製品小売価格も原油コスト需給の状況や競争環境等などの影響により変動。原油価格の高騰もあり、2009年以降の小売価格は上昇傾向を推移していた。

 そんな背景を受け、日本政府は22年1月から国民負担軽減を目的に暫定的な措置としてガソリン補助金を導入。本来は3カ月という期間限定での運用となるはずだったが、ウクライナ・ロシア戦争が勃発し、23年8月には約184円/Lを記録。様々な影響を受けたことで、その後何度か期間延長が行われたものの、日本におけるガソリン価格は高止まりする傾向が継続していた。

 ところが、ウクライナ戦争が長期化する中、24年11月には「ガソリン補助金を段階的に縮小していくこと」が閣議決定され、25年1月16日にはついに残りの30%の補助金が完全廃止。12月と合わせ10円/Lの値上げが行われることになった。

「現在、世界的にガソリン補助金が『脱酸素』の妨げになっているという認識があり、主要7か国の補助金がほぼ打ち切っている状況のなか、日本も右へ倣えという形にならざるを得なかった。もともと、この『燃料油価格激変緩和補助金』というのは、直接ユーザーが恩恵を受けるわけではないものの、石油元売会社に対して支給されるため、国内のガソリン価格を抑えることができた。しかし、これが打ち切られるわけですから、ガソリン価格が値上がりになるのは当然の流れでした」(政治部記者)

 今回の完全廃止により、ガソリンの価格はおおよそレギュラー1リッター185円となり、一般家庭はもちろん、物流、流通を経て販売される商品にも多大な影響が出ることは必至だ。

「ガソリン税率廃止」について国民民主党の玉木雄一郎代表は17日、Xで《石破総理、「地方創生」を言うなら、ガソリン価格を上げるのではなく下げましょう》と投稿。自民、公明、国民民主の3党が合意したガソリン税に上乗せされる暫定税率の廃止をあらためて訴えており、SNS上では《電車がない地方では車が生命線。地方創生どころか地方崩壊・壊滅ですよ》《もともと時給が違う大都市と地方で、これをやられたらもう無理》《大都市との格差がさらに広がるんだろうなぁ》と憤りと嘆きのコメントが続出している。

「交通手段の少ない地方で足は車しかない。ガソリン価格高騰はまさに死活問題です。にもかかわらず、消費税との二重課税として約4割の税金を課していること事態、理不尽な話なのに、それを50年以上減税しないということ自体が問題。石破氏が『地方創生』を掲げるのであれば、観光も含め地方を活性化するために、まずガソリン減税に踏み切るべき。そうしない限り、地方の経済がどんどん縮んでいくことは間違いない」(同)

 19日、NHK「日曜討論」に出演し、トランプ米大統領との首脳会談の時期を2月上旬として、「だいたいこの辺りということで」と調整が進んでいることを明らかにした石破氏。対トランプ氏との交渉も大事だが、まずは足元に目を向けてほしいと切に願うばかりだ

(灯倫太郎)

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