ロシア上空は友好国でも危険…戦争・紛争地帯で起きた“誤射”の悲劇

 ロシア軍による“誤射”が原因の可能性が高い、昨年末のアゼルバイジャン航空機墜落事故。思い出されるのは2014年にウクライナ東部に墜落したマレーシア航空機だが、この事故についても調査の結果、ロシア製の地対空ミサイルによる撃墜が原因と結論付けられている。

 現在、日本を含むほとんどの西側諸国の民間機は、ロシアを迂回する飛行ルートを採用。一方で友好関係を維持する中国やトルコ、中東諸国などのエアラインは、ウクライナ戦争の開戦後もモスクワなどロシアの主要都市に乗り入れており、上空も戦争前と変わらず飛行している。

 だが、イスラエルのエルアル航空のようにアゼルバイジャン航空機の事故後、定期便の当面の運行停止を発表した航空会社もある。やはり戦争・紛争の当事国の上空を飛ぶのは危険すぎるということか。

「リスクは確実に高まります。ロシアが関与したとされる2つの事故以外だと、01年のシベリア航空機(ロシア)事故はウクライナ防空軍の誤射とされており、20年のウクライナ航空機事故はイラン革命防衛隊の誤射が原因ですからね」(航空ジャーナリスト)

 他にも1988年には中東のホルムズ海峡に派遣されていた米海軍の巡洋艦が、イラン航空機を同国の戦闘機と誤認して艦対空ミサイルで撃墜。2003年にはDHLの貨物機が墜落こそ免れたもののイラン上空で地対空ミサイルが主翼に直撃し、緊急着陸を余儀なくされている。

 また、イランがイスラエルに約200発のミサイル攻撃を行った24年10月1日には、当時イラン上空を飛んでいたエールフランス機にミサイルが接近。パイロットがコクピットから視認できるほどの近距離だったという。

「日本からヨーロッパに向かう場合、中国のエアラインを乗り継いで利用する方が増えていますが、いずれもロシア上空を飛行します。撃墜による墜落の確率は限りなく低いとはいえ、気になる方は避けたほうがいいかもしれません」(同)

 そもそも情勢的に安全な地域なら実戦配備された軍隊や武装したテロリストもいない。海外旅行の際はそうした部分もしっかりと踏まえた上で、どのエアラインにするか吟味したほうがいいかもしれない。

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