プロ野球で出場機会に恵まれない選手を救済する目的でスタートした「現役ドラフト」が12月9日に行われた。
この制度は2022年、MLBが毎年12月に行っている「ルール5ドラフト」を参考にしてスタート。12球団はそれぞれ来シーズン契約を結ぶ見込みの「保留選手名簿」からFA選手や育成選手などを除いた2人をリストアップし、日本プロ野球機構(NPB)に提出。年俸5000万円以上の選手は対象外だが、5000万円未満の選手を追加して3人以上リストアップすれば、1人に限り5000万円以上1億円未満の選手をリストアップできりルールになっている。
そんな中で今季は、阪神が、巨人8年目の中継ぎ投手・畠世周を獲得した。16年ドラフト2位で近大から巨人入り。1年目から6勝をあげ先発投手陣の軸を期待されたが、23年3月に右肘のクリーニング手術を受けた影響で、ここ2年で1軍での登板は1試合にとどまっていた。
そんな畠を巨人首脳陣の中で最も買っていたのが、桑田真澄2軍監督だ。
「21年、原辰徳前監督のもと1軍投手チーフコーチ補佐として入閣してから、畠の一本立ちに向けてつきっきりで指導してきましたからね。昨年3月の手術後も畠は、桑田さんの現役時代の武器の一つだった、あの独特な“桑田カーブ”を必死に習得しようとしていた。キャチボールの相手も常に桑田さんを指名する“桑田チルドレン”の模範生の一人です。桑田さん自身、『指導者でもエースになりたい』とことあるごとに話しているだけに、畠の移籍は応援するとともに内心ガッカリでしょう」(民放ディレクター)
巨人では今季15勝を挙げたエース菅野智之がMLBへ移籍するが、
「桑田2軍監督は『菅野君の穴は今いる若手の投手陣で十分埋められる』と話していました。畠をその穴を埋める一人として考えていたと思いますよ」(古参の巨人担当記者)
来季は“桑田カーブ”に巨人打線がやられる試合が見られるかもしれない。
(小田龍司)