巨人が「韓国の“魔球”三冠投手」に熱視線も阿部監督の「ド真ん中理論」に合うのか 

 新外国人選手の獲得基準も「変わる」のか?

 新生・阿部巨人の秋季練習2日目は雨に見舞われた。室内練習場での短めの練習となったが、阿部慎之助監督は精力的に動いていた。

「ブルペン入りすると、真っ先に近づいていったのが畠世周。畠がそれに気がつくのと同時に阿部監督は話し掛けていました」(取材記者)

 練習終了後、阿部監督、畠、関係者らの話を総合すると、「ド真ん中に投げろ!」とアドバイスしたという。四隅に投げ分けようとすると、腕の振りが弱くなる。だから、「強いボールを投げられるよう、しっかりと腕を振れ」と伝えたそうだ。

 強いボールを投げることをいちばんに考えた阿部理論である。阿部監督はMLBのポストシーズンマッチをテレビ観戦しており、記者団に「最後はド真ん中のボールを空振りしていた」と、強いボールと度胸の重要性を説いていた。そんな「阿部理論」が影響してきそうなのが、新外国人選手の獲得基準だ。

 すでに複数の韓国メディアが報じているが、巨人、オリックスがNCダイノスのエリック・フェッディ投手の視察を続けている。昨年まではMLB・ナショナルズに所属していたが、契約を解除されて、韓国プロ野球界に拾われた。通算防御率5点台の“イマイチ右腕”だったが、韓国では29先発で20勝6敗、防御率2.06、204奪三振を記録。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の「投手三冠」に大化けしたのである。

「ダイノスは慰留に必死、MLBスカウトも足繁く通っていたので、大争奪戦になるでしょう。低年俸で獲得できるので、オリックスの山本由伸よりもMLB各球団の本気度は高いかも」(特派記者)

 大化けした要因はスイーパーをマスターしたこと。MLB時代はシンカーを多投し、ゴロアウトを狙っていた。また、直球の球速は「150キロが出るかどうか」のクラス。シンカーを見送られ、直球を狙い打ちされていた。しかし、昨年オフの短期間でスイーパー習得に成功。今では自信に満ちた表情でマウンドに上がっているそうだ。

「NPBスカウトは獲得交渉すると決めなければ、韓国球界を視察しません。近年、韓国球界を経由して日本球界入りした選手は活躍していないし。フェッディはNPBにも興味があるみたいですが」(前出・同)

 今季の大谷翔平を見ればわかるが、曲がり幅の大きいスイーパーがMLBでも「魔球」としてブームにもなっている。しかし、「逃げの変化球」でもある。阿部監督の「攻めろ!」の指導からして、“好みのタイプ”ではなさそうだ。

 阿部監督は所信表明で「変わる」といった。畠への助言は渉外担当者にも向けられていたのかもしれない。

(飯山満/スポーツライター)

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