矢野・阪神VS原・巨人「優勝するのはどっちだ!?」(3)ペナントVでもCSで逆転!?

 投打ともに戦力的に一歩も譲らない両チーム。ここにきて監督采配が、明暗を分けているように思えてくるが、果たしてどうか。江本孟紀氏は、2ストライクから投手交代をするなど、奇襲策を弄する原采配に軍配を上げる。

「6月20日の直接対決では阪神相手に7回、打席の途中でピッチャーを高梨雄平(28)から鍵谷陽平(30)にスイッチして見事に抑え込んだ。6月29日の対広島戦でも、打席の途中で戸根千明(28)から畠世周(27)に代えました。大きく見れば投手たちへ刺激を与えているようです。26日のヤクルト戦でも、3回無死1、2塁で坂本がバントの構えからセンター前にはじき返し、北村の3ランが出ましたが、この試合に巨人の上昇ムードを感じましたね。坂本に対してもバント、バスターのサインを出すのが原采配。一種の刺激策でしょう。逆に阪神は、これができない。矢野采配はオーソドックスであり、最近は打順をいじっています。大山を6番にしたり、2番に中野や糸原、サンズを4番にしてみたり、大山と佐藤を入れ替えたり。これを始めたら阪神はダメですね」

 だが広澤克実氏は、矢野燿大監督(52)の指揮がチームを牽引していると指摘する。

「矢野采配は、言ってみれば横綱相撲。横綱がわざわざ奇襲をすることなどありえません。V9巨人や黄金時代の西武、90年代のヤクルトも、奇襲策はほとんどありませんでした。その点で阪神に重厚な強さを感じます。特に矢野監督は、就任してから積極的に盗塁をさせており、3シーズン連続リーグトップですから、機動力も一日の長がありますね」

 とはいえ、阪神の弱みはリーグトップの失策数50。巨人は28とリーグ最少だが、

「阪神の年間失策数は、18年89、19年102、20年85で3年連続日本一です。キャンプの時から課題になっているけど、基本的に練習が足りてないですよ」(江本氏)

 最後に、3名のOBに優勝の行方を尋ねると、巨人と予想したのは、江本氏と駒田徳広氏。両チームに在籍していた広澤氏は、

「ペナントは阪神ですが、CSで巨人が逆転するのではと感じます」

 と、短期決戦の怖さを語る。

 阪神ファンにとっては耳の痛い話だが、虎党のスポーツ紙記者は自戒を込めてこう言うのだ。

「08年、阪神は80勝以上を挙げたにもかかわらず、最大13ゲーム差を巨人にひっくり返されました。のちに『メークレジェンド』と言われましたが、阪神ファンにはトラウマになっている。なにしろ、『阪神Vやねん』という特集本まで出たほどで、今季なんか優勝報道で持ち上げられたら、逆に警戒するのが阪神ファンの性ですわ(笑)。ファンが不安になっている間はチームもまだ持ちこたえられる、と日々祈る気持ちです」

 OBたちの直言に、両チームはどう応えるのだろうか。

*「週刊アサヒ芸能」7月15日号より

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