JR西日本が5月19日に10月にダイヤ改正を行うことを公表したが、JR各社のダイヤ改正は通常3月に行われるものなので、「コロナを機に不採算路線の大幅減便や、果ては将来的な廃線への伏線ではないか」と、様々な憶測を呼んでいる。
「今回のダイヤ改正はコロナで減った利用の減少に合わせて大幅な運行本数削減を行うものです。対象になっているのは、琵琶湖線や赤穂線、JR京都線などの近畿エリアの6線約60本と、北陸エリアの小浜線、越美北線、山陰エリアの山陰線、因美線、南紀エリアのきのくに線などの西日本エリア内の5エリア11線約70本を合わせた合計約130本を昼間の時間帯を中心に減らすというものです」(経済ジャーナリスト)
JR西日本では2015年との比較で、コロナ禍で利用数が全体で約3割、今回の削減を行うエリアでは6〜7割も減ったというから、採算性の点から考えれば本数削減もやむなしというところなのだが。
一方、たまったものではないのは地元住民だ。中でも北陸エリアで福井県を中心に走る小浜線や越美本線、山陰の山陰本線などは、もともと本数が少なくて減らせる余地がないところにさらに削減というのだから、少ない本数を頼りに稼働していた需要にとっては大打撃となる。
「JR西は詳細は7月に公表するとしていますが、既に地元自治体には了解を取り付ける地ならしを行っており、例えば小浜線では福井県敦賀〜小浜間の30本のうち14本を、小浜〜京都府東舞鶴間の26本のうち15本を削減対象としていると伝えられています。事情は他のエリアでも同様ですが、北陸から山陰のいわゆる日本海側エリアにとっては非常に厳しい減便になると思います」(前出・ジャーナリスト)
コロナ以前のもっと前から苦戦が伝えられていた北海道では、既にJR日高線が3月末に廃線、20年5月にも札沼線が廃線を迎えていて、全国的に不採算路線の存続が危ぶまれる状況が続いていた。そこにコロナが輪をかけるようにして打撃を加えている状況なのだ。
(猫間滋)