2月18日の定例記者会見で「ローカル線の維持が非常に難しくなっている」と廃線を視野に入れた見直しを明らかにしたJR西日本の長谷川一明社長。コロナ禍で全国の鉄道各社は利用客が激減しており、同社の20年4〜12月期の連結決算の純損益は1618億円の赤字。もともとローカル線は維持管理コストに見合う運賃収入を得るのが難しく、経営状態が悪化したことでこのような方針を打ち出したと見られる。
会見では具体的な路線名を挙げていないが、輸送実績などから廃止の可能性が高い路線・区間を推察することは可能だという。
「JR西日本はホームページ上で『区間別平均通過人員および旅客運輸収入(2019年度)』というデータを公表しており、利用者や運賃収入が少ない路線ほど、今後廃止になる可能性が高いと言えます」
そう話すのは鉄道ジャーナリスト。この資料によると、JR西日本管内で1日の乗客数がダントツで少ないのは芸備線の東城~備後落合駅(いずれも広島県庄原市)の11人。次いで同じ芸備線の東城~備中神代駅(岡山県新見市)の81人、因美線の東津山(岡山県津山市)〜智頭駅(鳥取県智頭町)の179人、木次線の備後落合〜宍道駅(島根県松江市)の190人といずれも過疎地域の中国地方の内陸部を走る路線で占められている。
「あと、データでは路線全体の数字しか公表されていませんが、小野田線の本山支線の雀田~長門本山駅(いずれも山口県山陽小野田市)も廃止の可能性があるでしょうね。沿線は過疎地帯ではありませんが、運行は朝と夕方のみの1日3往復しかなく、利用者も極端に少ないことで知られています」(前出・鉄道ジャーナリスト)
JR西日本では、18年3月に三次駅(広島県三次市)〜江津駅(島根県江津市)を結んでいた三江線が全線廃止。ほかの路線についても廃止の噂は当時から出ていたが、コロナによる業績悪化でそれが現実のものとなる日はそう遠くはないのかもしれない。
※写真は備後落合駅