うつや麻痺を引き起こす「スマホ首」、セルフチェックと予防法を解説

 老若男女、年代を問わずスマホを使うことが当たり前になった現代。スマホの圧倒的普及により、急激に増えているのが、“スマホ首”と呼ばれる、ストレートネックだ。通常、人間の首を支える頸椎は緩やかなアーチを描いた状態が正常だが、スマホ首の人はまっすぐに伸びているため、どうしても首にかかる負担がかかり、肩こりや首の痛み、腰痛を引き起こす原因になる。その状態でいると最悪の場合は下半身麻痺につながることもあり、また神経が圧迫されることで自律神経が乱れ、うつなどの精神的な疾患を引き起こす可能性があるため、決して侮ってはいけない疾患なのだ。

 自分がスマホ首かどうかをセルフチェックする方法は簡単。壁に背を向けてまっすぐ立ち、かかと、お尻、肩甲骨の3ヶ所を壁に密着させる。そのまま壁に後頭部が密着すればスマホ首ではない。だが、後頭部が壁につかなかったり、壁についても強い痛みや息苦しさを感じる場合は、スマホ首になっている可能性が高いといえるだろう。

 スマホ首になる原因はさまざまで、たとえばデスクワークでパソコンの画面を前のめりになって見続ける、下向きになって書類を読み続ける、また前傾姿勢で長い間文章を書いたりすることで、知らず知らずのうちに発症しているケースが多いため、「姿勢が悪いな」と気が付いたら正しい姿勢に戻すことが重要だ。

 スマホ首予防のためには、スマホを見る際には画面を覗き込まず、目の高さに合わせ、正しい姿勢を維持する。パソコン使用時も同様にPC画面が目線のやや下に来るよう、椅子の高さを設定し、出来るだけ頭を下げすぎないようすることがポイントだ。

 とはいえ、仕事や趣味に没頭していると、わかってはいても、なかなか姿勢を直すことは難しい。そこで、首や肩に痛みが出た際、是非おすすめなのが、首周りのストレッチだ。

 ただし、首には様々な部分にツボがあり、指だけを使いピンポイントで強く押してしまうと、揉み返しが来て症状を悪化せてしまう場合がある。そこで試してもらいたいのが、テニスや軟式野球のボールを使ったストレッチだ。ボールをダイレクトに首にあてることに抵抗がある方は、手ぬぐいなどでボールを包み、耳の後ろにボールをあて、首を左右に振る。スマホ首になると、耳の後ろから鎖骨にかけて伸びる胸鎖乳突筋が固まり、首の骨本来のクッション性が失われる。だが、胸鎖乳突筋がある鎖骨側には甲状腺や頸動脈などが通っているため、強い刺激は避けるべき。なので、たとえば机に肘をついたままの状態でボールをあて、頭の重さだけで首をゆっくり左右に振ってほぐしていく。イメージ的には、首と頭蓋の境にボールをあて、頭の重さを利用して緩めるという感じだろうか。

 また、スマホ首になると首周りだけでなく、肩甲骨や腰周辺に痛みが出る場合が多いので、時間があれば立ったまま壁にお尻をつけ、ほぐしたい体の部位にボールをあて、寄りかかったり離したりして筋肉やツボを刺激してみるのもいだろう。

 ただ、気持ちいいといっても、やりすぎには注意。もう少し、というところで止めておくのがストレッチの基本だということをお忘れなく。

(健康ライター・浅野祐一)

ライフ