4日にわたって激闘が繰り広げられた日本女子オープンは、畑岡奈紗が2年ぶり3度目の優勝。注目のシブコこと、渋野日向子はスコアを伸ばせず、通算9アンダーの7位に終わった。惜しいパットを何度も外し、試合後には「イライラした」「情けない」とボヤいた渋野だったが、ギャラリーとの微笑ましい“交流風景”は変わりなく展開されていた。
「渋野の出場する大会は軒並み観客動員を伸ばしていますが、とりわけ家族連れのギャラリーが急激に増えましたね。子供たち、とくに女の子がそうなんですが、移動中の渋野に近づき、ファンレターを手渡すなんて光景が見られます」(ゴルフ記者)
ホール間の移動中、ギャラリーの子供が選手に手紙を差し出すことはこれまでなかった。渋野は手紙を手にしたファンの子供が近づいてくると歩みを止め、腰をかがめて目を合わせてお礼を言い、しかも一度ファンレターにも目をやってから大事そうに仕舞う。子供たちはこうした心配りに魅了されている。親子で”シブコの追っかけ”というファンも多いのだ。
「ひと昔前なら、移動中にお客さんと接し、話でもしようものなら、先輩選手に呼び出され『ヤル気あるの〜?』とイビラレていたかもしれません。時代が変わり、先輩選手も今や渋野のファンサービをお手本にしていますね」(同前)
もっとも、渋野も「見られている」ことを意識している部分があるだろう。パットを外してムッとした顔を見せても、次のホールへ移動するときは、笑顔で子どもたちに手を振っている。子供たちのゴルフに対するイメージを損なってはならないと、意識して笑っているようだ。
「どうせやるのなら、楽しんだほうがいいという考え。気持ちの切り替えのうまさも彼女の武器ですね」(同前)
渋野のファンサービスは、きっと女子ゴルフ人口の底辺拡大に貢献するだろう。その接点が「握手」と「ファンレター」とは、どこかのアイドルグループを見ているようでもあるが…。
(スポーツライター・飯山満)