あの昭和ドラマヒロインを総直撃【スケバン刑事Ⅲ】大西結花「高所恐怖症なのにビル10階からぶら下がった」

 80年代に一時代を築いたドラマ「スケバン刑事Ⅲ」(86年/フジテレビ系)で、風間三姉妹を演じた大西結花。長女の決まり文句「いい加減にしなさい」と言いたくなる独特な演出法や、命の危険も感じた現場について明かしてくれた。

──今年でデビュー40周年ですね!

結花 ありがとうございます! デビュー作の「家族の晩餐」(84年)というテレビドラマから数えて40年なんですが、何か特別なイベントをやる予定は今のところなくて(笑)。私のブログなどで、感謝の気持ちを込めながら、ご報告させていただいています。

──そんな長い芸能生活の中で、「スケバン刑事Ⅲ」は、特に印象深い?

結花 風間結花役を演じることが決まって、「あなたの武器は折り鶴です」って言われた時の衝撃は忘れられないですね(笑)。最初こそ、「折り鶴で人を倒せるのかな?」とか「何で、折り鶴で金属の柱が折れるんだろう?」とか、色々な疑問が心の中に渦巻いたのですが、「そんなこと言ってる場合じゃないな。こういう世界観のドラマなんだから、自分の役を思いっきり全うしよう」って。だから、定番のセリフだった自分を名乗る「風間結花」も、すごみを持たせるよう気をつけていました。

──演出で言われたことは、素直に演じようと?

結花 もちろん、演出プランについては監督の指示通りにしていました。あの世界観を作り出すために、とにかく緻密な演技を求められるので、必死でした。折り鶴の持ち方ひとつ取っても、細かいんですよ。中指と人差し指の2本で折り鶴を持つんですが、残りの3本の指は内側に入れすぎない。親指は第二関節、薬指と小指は第一関節で曲げるとか(笑)。そうじゃないと、キレイに見えないんですよ。あと、何かに気づいて驚くシーンがあるとしますよね? そういう時は、足を一歩引いてから驚くとか。たとえて言うと、時代劇のような感じかな。演技にメリハリを付けるというか。実際に、放送されたシーンを確認してみると、ドラマの世界観にハマっているのがわかるから、「あれで、よかったんだ」って。

──洞窟の天井から滴る水を飲むシーンは衝撃的でした(笑)。

結花 洞窟に閉じ込められた時に、ポタポタと落ちてくる水滴だけで10日間も生き延びるシーンですよね(笑)。あれも、「スケバン刑事」ならではの演出だと思います。あの時は、衰弱している顔つきにするため、目の下に隈を描いたんですよ。その撮影の直後に、メディアの方の取材を受けたので、テレビや雑誌の仕上がりを見ると目の下が真っ黒のままで(笑)。現場ではそういう演出が日常茶飯事だったから、後から「あれ?」って思うこともありましたね。

──CGなしのアクションシーンはド迫力でした。

結花 第1話の終盤で、父親の風間小太郎が家ごと爆破されるシーンがあるんですけど、あれはすごかったですよ〜。リハーサルの時は、スタッフの方から「合図で家が爆発します」としか聞いてなかったんですけど、想像の100倍ぐらいの勢いで家が木っ端微塵に吹き飛んじゃって。安全な距離に立っていたつもりが、音もすごいし、全身に爆風と熱波を感じて、「素」で驚く演技ができました。でもよく考えたら、撮影所と言っても、当時は周辺に戸建ての住宅がたくさんあったんだけど‥‥。おおらかな時代だったんでしょうね(笑)。

──命の危険を感じることもありました?

結花 大立ち回りとか、地面に激しく転がったりもするから生傷ばっかりでした。あと、高所恐怖症なので、高いところが苦手なのに、ビルの10階からぶら下がって「落ちる〜」みたいなシーンを撮ったんです。もちろん、安全帯こそ付けてますけど、体をビルの外に出さないといけないからもう怖くて。

──「このシーンは危険だから」と止めてくれるスタッフはいなかったの。

結花 私のマネージャーさんを含めて、それは一切なかったですね(笑)。みんなプロの人が仕切って「これで大丈夫」って言うから、その言葉を信じて。固唾を吞んで見守ってるような感じでした。

─そんな思い入れが強い「スケバン刑事Ⅲ」は再来年で40周年。何か予定は?

結花 今年の7月にも、風間三姉妹でコンサートをさせていただいたばかりで、2年後のことはまだ何も考えられなくて。また、セーラー服を着て歌う? それはもうないと思いますね(笑)。でも、何か面白いことはやりたいですね。

──準備を進めていく?

結花 そうなるといいですね。それと、今年の10月に東京でソロライブを開催するんですよ。来年、歌手デビュー40周年に向けたカウントダウンライブで、まずはそちらを無事に終えてから、「スケバン刑事Ⅲ」のこともゆっくり考えていきたいですね。ソロライブでセーラー服? もう、いい加減にしなさい(笑)。

大西結花(おおにし・ゆか)大阪府生まれ。日本テレビ系列「家族の晩餐」(84年)でドラマ初出演を果たした後、シングル「アラベスク・ロマネスク」(85年)で歌手デビュー。映画「台風クラブ」(85年)やNHKの連ドラ「京、ふたり」など幅広いジャンルで女優として活躍。ライブなどの情報はInstagram(http://instagram.com/yukaonishi_)にて。

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