11万円台で雪の大地へ、飛行機で行くお手軽「南極ツアー」の中身

 地球の南端に広がる南極大陸は、どこの国の領土にも属しておらず、各国の基地に滞在する調査隊員以外の住民はない。一応、飛行場は数カ所存在するが、旅客機が就航しているわけではなく、訪れるには南アフリカや南米のチリ、アルゼンチンから出ているクルージングツアーを利用しなければならない。

 しかも、船だと日数が短いもので1週間前後と長く、南極に向かう南緯60度の海域は“吠える60度”と呼ばれるほど荒れ狂うことで有名。ツアー中ずっとひどい船酔いだったなんて話も珍しくない。

 ただし、もっとお手軽かつ格安で南極観光を楽しむ方法がある。オーストラリアのカンタス航空が不定期に実施している南極遊覧フライトだ。現在はシドニーやメルボルン、ブリズベン、パースのオーストラリア各都市から飛んでおり、フライト時間は南極上空の3~4時間を含む12時間ほど。出発地に戻るため、建前上は国内線という扱いだ。

 申し込みは航空会社のホームページではなく、専用サイトの「ANTARCTICA FLIGHT」(※英語版)や旅行会社を通じて行い、料金はいちばん安いもので1199豪ドル(約11万6700円)。ただし、これは窓の付いてないエコノミー席になるため、南極の景色を堪能したいなら2199豪ドル(約21万3000円)以上のプランへの申し込みが必要だ。こちらは途中で座席の入れ替えが行われるので機外の景色を見ることができる。

 実際、この南極遊覧フライトの搭乗経験がある30代の会社員は、「延々と広がる雪の大地はずっと見ていても飽きませんでした。日本からでも土日+有休1日の3連休を取って参加できたのもよかったですね」と話す。

 今年は11月17日と12月31日のメルボルン発、11月24日のシドニー発、12月1日のブリズベン発のフライトが予定されているが、すでにほぼ売り切れ状態。だが、来年1~2月には空席が残る便もあるようだ。行きたくてもそう簡単には行けない南極。一生に一度の思い出としてその絶景を目に焼き付けおくのもいいかもしれない。

(高島昌俊)

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