「JR羽田空港アクセス線」誕生で不要に!?「東京モノレール」はどうなるのか

 JR東日本が現在工事を進めている羽田空港アクセス線。すでに31年度の開業を予定している東京駅方面に向かう「東山手ルート」だけでなく、新木場方面の「臨海部ルート」も同時期の開業を目指していることが7月24日までに明らかになっている。

 ルートはこの2つに加え、新宿駅方面と結ぶ「西山手ルート」の3つになる予定。現時点でバス以外に羽田空港へ向かう公共交通手段としては、品川や横浜方面から乗り入れる京浜急行があるが、特に羽田アクセス線開業の影響を受ける可能性が高いと懸念されているのは、浜松町との間を結ぶ東京モノレールだ。

 浜松町駅は都営地下鉄の浅草線、大江戸線の大門駅に隣接するが、モノレール利用者の大半はJRからの乗り換え客。浅草線は京急乗り入れで羽田空港行きの列車も多いため、わざわざ乗り換えに時間のかかるモノレールを使う必要性は考えにくい。

「ただし、羽田アクセス線は用地の都合上、一部区間が単線となる見通しで輸送能力に限度がある。また、羽田空港新駅の建設予定地は国際線の第3ターミナルから離れており、こちらの利用客はモノレールか京急を使うことになると思います」(旅行誌編集者)

 さらに浜松町駅から羽田空港までの所要時間は、空港快速だと約18分。羽田アクセス線・東山手ルートも東京駅から同じ約18分を予定している。

「浜松町駅のほうが空港に近いですが、駅構内は東京駅のほうが遥かに広く、乗り換えに時間がかかることが予想されます。ただ、どちらを選んでもトータルの所要時間にそれほど大きな差は生じないと思われます」(同)

 ネット上では廃止の可能性を危惧する声もあるが、東京モノレールは1日の乗降客数が約25万。空港利用者が激減したコロナ禍の期間を除けば業績も悪くない。

「忘れてはならないのは、JR東日本の子会社であるという点です。モノレールのダイヤは過密状態でこれ以上増やすのが難しいため、むしろ共存共栄の方針でしょう。JRが事故などで遅延が生じたには代替交通手段になります。それにベイエリアが一望できる車窓からの景色は人気が高く、それを見たくて利用される方も多いですから」(同)

 今後もモノレールが羽田空港と都心を結ぶ重要な足であり続けることに期待したい。

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