「コロナ後」の東京上空に大異変! 目黒、渋谷、品川に「危険物落下」のリスク

「すぐ頭の上を飛行機がかすめていく感じで、機体がものすごく大きく見えました。このコロナ禍でさすがに発着陸する便が少ないせいか、そんなに頻繁ではありませんが、今後、またインバウンド(訪日外国人客)が増加した際に、何か被害がでないかどうか心配です」

 都心に住む40代の女性が危惧するのは、羽田空港へと着陸していく旅客機の“威圧感”だ。じつはこれまで羽田への着陸ルートはおもに海上だったが、3月29日から東京都心の上空を通過する新ルートが導入された。

「羽田空港における日中の発着枠は年間約6万回ですが、それを約9.9万回に増やすことになったんです。結果1日の最大発着数が50便増え、日中で130便まで拡大されることになった。ただ、国道交通省では3.9万回の増加分のうち、都心上空を進入着陸に使うのは1.1万回だけで、羽田の発着枠の2.5%に過ぎないと説明しています。とはいえ、1月末から2月12日にかけて行われた試験飛行では、東京都品川区、港区などで地下鉄車内並みの80デシベル超の騒音が測定され、川崎市では会話がほとんど不可能とされる90デシベル超の騒音が記録された。これは政府が想定した最大値をはるかに上回る騒音(速報値)になりました」(全国紙社会部記者)

 さらに、航空専門家からは、騒音だけでなく落下物の発生を懸念する声が上がっている。

「ビルの屋上をかすめるように着陸しなければならない香港の啓徳空港は、世界一着陸が難しいと言われ、1998年に閉鎖されました。羽田への新ルートでは、この“香港アプローチ”よりもさらに急角度の降下技術が必要とされます。つまり、問題は騒音だけではないということ。着陸に伴い、機体の振動が増すことで部品が落下するケースは珍しくなく、実際、成田空港の周辺では畑などで落下物が確認されています。どんな小さな部品でも、人口が密集する市街地に落ちれば、人命にもかかわる事故を引き起こしかねません」(航空ジャーナリスト)

 羽田空港の増便は、安倍晋三政権が掲げる「成長戦略」のひとつ。首都圏空港の発着容量を世界最高水準の年間約100万回に拡大することが目標とされる。

「実際、米大手のデルタ航空はすでに成田から羽田へ全便移行を決定。欧州や豪州、アジアの大手各社もそれに追随する動きを見せています。今後さらに各国の航空会社が成田から羽田への乗り入れに移行すれば発着枠の増加は必至です。そうなれば、東京都心部に林立する高層ビルやタワーマンションをかすめるようにジェット旅客機が低空を飛ぶ、という光景が日常のものとなるでしょう。もしも、大事故があったらだれが責任をとるのか……場当たり的な政策は”狂気の沙汰”としか言えません」(同ジャーナリスト)

 コロナ禍終息とともに、羽田が世界でいちばん危険な空港になる日も近い!?

(灯倫太郎)

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