2日に羽田空港で発生した海上保安庁の航空機とJALの旅客機の衝突炎上事故。海保機の乗員は機長を除いて全員死亡したが、JAL機の乗員乗客379名は全員が無事に脱出できた。機体が全焼するほどの飛行機事故ではこうしたケースは非常に珍しく、今回の事故を報じた世界中のメディアが「奇跡の脱出劇」と報じている。
ちなみに飛行機搭乗中に事故に遭って死亡する確率は、米国国家運輸安全委員会によると0.00048%。仮に毎日搭乗した場合でも438年に1度の割合だ。対して自動車事故での死亡率はこの2000倍にも上るという。飛行機があらゆる乗り物の中でもっとも安全と言われる所以だ。
ただし、それでも事故に巻き込まれる可能性はゼロとはいえない。だとするなら、少しでも死亡率を下げたいと思うのは人情だ。ではどうするか。
実は、飛行機の場合、座席の位置によって事故時における生存率が大きく異なることが過去の統計から明らかになっている。しかも、最も生存率が高いとされるのは前方のファーストクラスやビジネスクラスではなく、エコノミークラスであり、その中にも「優劣」があるという。
「事故の状況は千差万別ですが、それでも最前方に比べて最後方座席の生存率は約40%も高いんです。米誌TIMEが過去35年間の事故データを調べたところ、前方より後方、しかも窓側や通路側でなく中央の席の死亡率が低いことがわかっています。そのため、いつも後方中央の座席をわざわざ指定する乗客も少なくないといいます」(航空ジャーナリスト)
とはいえ、緊急時には左右の前方や中央、後方の非常口から脱出する。非常口に近い席ほど早めに機外に出られそうだが…。
「中央の席は他の座席と比べると窮屈とも言えますが、反面、左右を他の乗客によって守られているとも言えます。もっとも、事故時に大切なのはなによりパニックにならないこと。乗客が我先にと非常口に殺到したら、今回の事故も全員無事に脱出できたかわからない。CAの適切な対応とそれに従う乗客の冷静な行動も生死を分ける大きな要素になります」(前出・ジャーナリスト)
確かに燃え盛る機体を前にして座席の位置などあまり関係がないようにも思えてしまう。乗員乗客双方のパニックコントロールこそが最も重要なのかもしれない。