見た目がそっくりなブランド物のコピーはアウトだが、デザインや機能を似せた類似商品は、家電、ファッション、雑貨など幅広い分野で数多く存在する。
特にヒット商品が生まれると、その下位互換と呼ぶべき商品も次々と誕生するが、「やっぱり純正のほうがいい!」という人も多いだろう。中高年ほどそうした意識が強いと言われているが、一方の若い世代はそこまでブランドに対するこだわりはないようだ。
こうした消費者心理のことを「平替(ピンティー)」と呼ぶが、もともとこれは中国語の「平价替代品」の略。本来は品質や機能面で遜色のない低価格の類似製品の意味だったが、最近では“本家よりは多少劣るが、それっぽい見た目、機能の商品”という形で認識されている。
「『SHEIN』や『Temu』といった中国発の格安通販サイトは、海外をはじめ日本でもZ世代を中心に高く支持されています。ユニクロや無印良品など国内外で人気のブランドはもちろん、無名のショップの商品の安価な類似品が多数販売されています」(流通ジャーナリスト)
例えば、ユニクロも昔はどの商品も安く庶民の味方だったが、原材料や人件費の高騰により現在はそこまで安くはない。そうした中、“見た目が似ていれば安いほうで構わない”との中国的な価値観が日本でも浸食しつつあるようだ。ただし、同サイトでの購入には注意しなければならない点もある。
「格安だけに、レビューを見ても品質に関しての疑問や、不良品が送られてきたという悲鳴も見られる。ただし返品も可能ですから、リスクに対する割り切りに慣れれば日本でもさらに爆発的に利用者が増えるのでは」(同)
結局、こうした激安通販は昨今の日本の物価上昇や生活の困窮を受けバカ受けしている面もあるだけに、今後は次第に中高年にも受け入れられるのかもしれない。
※写真は「Temu」のアプリ画面。