カリスマ飲食プロデューサーに「金銭トラブル」(3)設計図を無許可で使用

 両者の主張の齟齬については、「週刊アサヒ芸能」本誌が断を下す立場にはない。事実として残るのは、小林氏の会社が制作した設計図が、報酬の支払いのないまま無許可で使用されていることだ。この件について小林氏は、

「普通の会社が4カ月かかるような作業を、不眠不休でひと月足らずで仕上げたわけです。当然、複数の外注業者も使っています。そのギャランティに関しては、約400万円ほどこちらの持ち出しです」

 契約書がある以上、「組合」が小林氏サイドに報酬を支払えば問題は解決する。しかし、そんな当たり前の解決法を期待できないことが、小林氏の怒りを増幅させている。

 実は「組合」が採用している「有限責任事業組合」という事業形態は、複数の会社が集まった合同会社であり、それぞれの出資額以上の法的責任は問われない。A氏への取材でわかった設立時の出資額は、組合員たる4社合計で50万円にも満たず、それも諸費用で消えたため、「組合」の金庫はほぼ空の状況らしい。

 さらに「組合」は現在、解散の手続きに入っている。法律上は、このまま支払いを行わなくとも、「組合」がなくなればその債務を各組合員が背負う必要がない、と認められているという。A氏が弁明する。

「経緯はどうあれ、報酬を支払っておらず、設計図の著作権についても知識が足りなかったこちらが悪い。それは認めます。私の認識では1600万円全額分の仕事をしていただいたと考えていないため、金額についてはご相談したいが、支払いの意思がないわけではありません。しかし、現状としては新型コロナの影響もあり、会社としても個人としても支払えるお金がないのです…」

 アサ芸は今回、A氏と同時に、X氏にも書面による取材を申し込んだ。本人からの返答はなかったが代わって、X氏の所属するY社代表が、A氏との取材に同席したうえでこう答えている。

「Xはプロデュースのことしか頭にないような人ですが、今までこの手の金銭トラブルを起こしたことはない。プロジェクトの話を聞いて、実現が難しいかもしれないと感じた自分が止めるべきだったのかもしれない。ただ、設計図の報酬については支払うべき。同じ組合員として、我々にも道義的な責任があるかもしれないが…。正直に言うと、巻き込まれたと思っています。当然、今に至るまで、Xもギャラは1円も受け取っていません」

 A氏の証言によれば、「組合」が資金調達できなかったため、「みらい開発」がその後の業者選定を行い、内装工事費をみずから出して事業を継続しているところだという。だが、そこに無許可で使用されているのは、小林氏の設計図だ。名だたる大企業が出資者として関与しながら、こうしたズサンな運営はいかがなものか。

「週刊アサヒ芸能」は「みらい開発」にも同様に質問状を宛てた。しかし期日を過ぎても返事がなく、電話口で「回答の意思がない、ということか」と問うたところ、対応していた女性社員はこう答えた。

「担当者が不在で、今、こちらには私しかいないのでわかりませんが、そういうことかもしれません」

 大田区にも、官民連携の公共性の高い大事業のトラブルに関する所見を尋ねたところ、

「(トラブルは)承知しておりません」(空港まちづくり課)

 羽田空港は近年、国際線の強化が国策として進められている。その新たな顔となるべき「イノベーションシティ」で、他の飲食店が徐々に営業を開始する中、「横丁」はいまだにオープンのめどすら立っていない。決着が長引けば、それだけ世界に日本の醜聞が伝わることになりかねないが…。

※カリスマ飲食プロデューサーに「金銭トラブル」(了)

※写真はイメージです

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