現在、国内の航空路線でもっとも長い距離を飛ぶのは、ピーチが1日1往復就航している新千歳~那覇。日本列島をほぼ縦断し、その距離は約2240キロにおよぶ。
一方、いちばん距離が短いのは、沖縄の南大東島と隣の北大東島のわずか13キロを結ぶフライトだ。南大東島→北大東島は週3便、北大東島→南大東島は週4便飛んでいるが、実は、7月末での廃止が決定している。
地元関係者たちは、「島民たちの行き来はほとんどない」と語っていたが、8月以降の2島間の移動手段は那覇経由での大回り、もしくは週1便運航される貨客船のみとなる。ただ、旅行者の中には2つの島を周遊する者も多く、観光業への影響を懸念する声も聞かれる。
ともあれ、廃止になる前にこの「日本一短いフライト」を体験すべく、記者は勇躍、羽田から那覇へ、そして那覇から乗り継いで南大東島へと降り立った。
着陸前には機内の窓から2つの島を眺めることもでき、その距離の近さをあらためて視認できた。仮に陸続きなら車や鉄道、バスで気軽に移動できる距離だ。
搭乗した7月某日、南大東空港から目と鼻の先にある北大東空港に向かうJALグループの琉球エアコミューター735便はほぼ満席だった。青空の下、ターミナルから歩いてプロペラ機に搭乗するのがいかにも南国の離島っぽくて心地よい。
飛行機は定刻通り離陸したが、飛行時間が短いのでドリンクサービスは行われず、シートベルトのランプも点灯したまま。南大東島を離れると、すぐに着陸準備のアナウンスが流れ、あっという間に到着してしまった。
スマートフォンのストップウォッチで離陸から着陸まで計ってみたところ、わずか5分27秒だった。
ちなみに今回は休暇を利用しての訪問で、南大東島には2泊滞在。サトウキビの一大生産地としても知られるこの島には、1983年まで運搬用兼島民の足として「シュガートレイン」と呼ばれる鉄道が走っており、島には車両や線路の一部が残されている。美しい海はもちろん、他にも鍾乳洞など、見どころは多い。
アクセスしやすい島とはいえないが、周囲20キロほどの小さな島なので、数日の滞在でも満喫できるはず。興味がある方は一度訪れてみてはいかがだろう。
(高島昌俊)
※写真は北大東島行きのRAC735便。