「巨人のユニホームは売れない」元サプライヤー関係者がバラす“名前なしデザイン”の苦肉策

 プロ野球はセ・パ交流戦に入り、巨人は5月29日、パ・リーグで快進撃を続けるソフトバンクに延長12回サヨナラ勝ちを収めた。

 その巨人を巡っては、ユニホームについて論争が起きていた。球団創設90周年を記念してビジターロゴを70年ぶりに変更。そのデザインを米国ティファニー社に依頼しているのだが、話題となっているのは昨季からホーム用、ビジター用ともに背中に名前を入れない背番号のみのユニホームを採用している点だ。

 この背番号のみのユニホームについては昨年10月、巨人の元監督で野球評論家の堀内恒夫氏が自身のブログで「どうか名前を入れてください。よろしくお願いしますね」と言及しており、有力OBからは不評のようだ。

 球団が名前なしユニホームにした理由は、「FOR THE TEAM」の精神が通じる米大リーグ(MLB)のヤンキースと同じデザインにした「背負うものは個人の功名心ではなく、ファンへの想い」(球団公式サイトから抜粋)の決意の表れからだそうだ。

「巨人は昨季から米国のナイキ社がユニホームのサプライヤーになりました。実は2020年から、ヤンキースやドジャースどころかMLB全球団のユニホームをナイキ社が独占で扱っています。巨人もこれに乗った形です」(夕刊紙記者)

 巨人はそれ以前、2006年から14年まではアディダス社、15年から20年まではアンダーアーマー、21年はミズノと、ユニホームサプライヤーを変えているのだが、なぜこうもコロコロと変える必要があるのか。かつて巨人ユニホームのサプライヤーだった関係者が言う。

「ウチも含めてすぐサプライヤーが撤退するのは、巨人のレプリカユニホームが売れないから。昨季から名前入りをやめたのも、なんとかして売りたいという苦肉の策だと思いますよ」

 かつての巨人といえば、「背番号」と「選手の顔」がファンだけではなくアンチ巨人の面々からも認識されていたほどだった。その選手の名前が入ってからこそのレプリカユニホームだったわけだが、売れないということは個々の選手のインパクトが弱くなっているということだろう。「名前なしのデザインに変えて以降も、飛び抜けて売れているわけではないようです」(夕刊紙記者)というように、結局、ユニホームがヒット商品になるには、憎らしいぐらい強いことが第一条件なのだ。

(小田龍司)

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