バレーボール男子日本代表で、来季からVリーグ・サントリーサンバーズへの移籍を決めた高橋藍の入団会見が5月28日に行われた。
これまで3年間、世界トップのイタリアリーグでプレーを続けてきただけに、日本のVリーグ入りは電撃的だった。大阪・箕面市が本拠地だが、会見は東京のサントリーホールで行うというVIP待遇。高橋は「(サントリーの企業理念である)やってみなはれ!という精神でチャレンジしたい」とコメントしたが、今回の移籍には思惑がある。
「まず契約が単年であること。日本のバレーボールリーグは今年10月から『Vリーグ』の上に『SVリーグ』が新設される。プロリーグと言いたいところですが、『SVリーグ』は2027年に完全プロ化を目指すリーグです。移籍市場を大きくするために外国人枠を拡大する方針でレベルアップを図りますが、失敗する可能性も十分ある。高橋が1年契約にこだわった理由もここにあります」(夕刊紙記者)
バレーボールのプロ化はこれまで何度も試みられた。
「1993年にはサッカーJリーグがスタートしていますが、バレーではこれより前からプロ化が何度も検討され、失敗に終わっている。Jリーグ立ち上げの際も、パレーボールで失敗したのだからサッカーのプロリーグ化が成功するわけがないという意見が多かった」(同)
SVリーグ立ち上げに向けては、Jリーグで常務理事を務め、バスケットのBリーグ初代チェアマンの大河正明氏が招聘された。
「大河さんは元々銀行マン。そこでの手腕を買いJリーグ初代チェアマンの川淵さんがJリーグに引き抜きました。事務方のトップとしてサッカーJ3の創設や財務関係の責任者として実績を上げ、今度は川淵さんの次のBリーグのチェマンとして呼ばれた経緯があります」(同)
つまり、今度こそ成功しなければいけないプロ化へ向けてのSVリーグなのだ。高橋のサントリー加入はその原動力の一つになることは間違いなく、プロ化成功が見えた暁には、日本での契約内容も変わってくるかもしれない。
(小田龍司)