大阪府の吉村洋文知事は5月27日、大阪・関西万博への「子ども無料招待」プログラムに関して、参加希望の学校が75%に上ると報告。ところがその裏には「参加しない」という選択肢がなかった事実が発覚し、波紋を呼んでいる。
吉村知事は同日、自身のXを更新。児童生徒の万博招待事業について、「現時点で1280校から回答あり、75%に相当する950校もの学校から参加希望がありました。残り25%も未定・検討中です。家庭の事情等で万博に行けない子供達も含めて、多くの子供達に世界の最新技術、多様な価値観、文化に触れて欲しいと思います」とツイート。
ところが大阪府交野市の山本けい市長が自身のXで「『参加希望』と『未定・検討中』の選択肢しかなく、『参加しない』の選択肢がないのですが」とあらかじめ選択肢が限定されていたことを暴露。山本市長はさらに「市長が維新公認の場合、『参加希望』しか選択できないとも聞いています。『未定・検討中』を選ぶと大阪府教育庁が『調整』に入るなんて、実質、強制参加ではないでしょうか」と、疑問を呈している。
さらに山本市長は意向調査の内容について、5月24日時点で未回答が約620校あることについて、「意向調査開始から1ヶ月以上回答しないのはなぜなのでしょうか」と綴っている。社会部記者が語る。
「大阪府教育庁は、5月末を期限として府内の約1900校に事業に参加するかどうかの意向調査を実施しています。しかし、最初から『参加しない』の選択肢がないため未回答が驚くほど多い。一部の学校関係者からは2024年問題などで移送バスが充分に確保できないことを懸念する声があがっており、必ずしも参加を前提にしてはいない。また駐車場から入口まで1キロほど徒歩移動しなければならず、小1だと30分かかることも問題視されています」
府教育庁の資料によると、ランチの場所に想定されている団体休憩所は、メタンガスによる爆発事故が起きた「夢洲1区」に設置されており、子どもを送り出す親からは不安の声があがっている。
吉村知事にしてみれば、多くの学校が参加することをアピールしたいのだろうが、その前に1日1トン以上のメタンガスが出ている埋め立て地の安全性について、きちんと説明責任を果たすべきではないだろうか。
(ケン高田)