国内飲料メーカーが発売するオレンジジュースが相次いで販売休止となっている。原産国であるブラジルでの不作や円安が原因だが、その一方で、街には「生搾りオレンジジュース」の自動販売機が増えているという。
「4月25日に森永乳業は、果汁飲料『サンキスト 100%オレンジ』(200ミリリットル)について、原料がなくなり次第、一時販売を休止すると発表しました。サンキスト以外にも国内飲料メーカーのオレンジジュースの販売休止は続いていて、雪印メグミルクの『Dole オレンジ 100%』の450mlと1000mlは昨年4月から現在まで、アサヒ飲料の『バヤリースオレンジ』(1.5リットルペットボトル)も昨年12月から現在まで販売休止状態となっているのです」(フリーライター)
オレンジジュースが買えなくなっている主な原因は、オレンジの果汁不足だ。国内メーカーのオレンジ果汁の輸入の半分以上を占める原産国であるブラジルでは、2023年に天候不順に加えて、柑橘類特有の病害が流行したことで大規模な不作が発生した。また、主要産地の1つであるアメリカでも、大型ハリケーンが発生したことで生産量が激減。結果、オレンジ果汁の争奪戦が繰り広げられることとなり、円安も加わって取引価格が高騰してしまった。こうして各メーカーは販売を休止せざるを得ない状況になってしまったのだ。
「ところが、そんな状況の一方で、街には『生搾り』を売りにしたオレンジジュースの自動販売機が増えているのです。設置されているのは、主に『Feed ME Orange(フィード・ミー・オレンジ)』と『IJOOZ(アイジュース)』の2社のもので、お金を入れるとその場でオレンジをカット、プレスして、搾りたてのオレンジジュースを提供してくれるというもの。Feed ME Orangeは400台以上、IJOOZは200台以上が国内に設置されています」(経済ジャーナリスト)
オレンジが不足する中で、なぜ生搾り自販機は増えているのか。
「Feed ME Orangeはイギリス発、IJOOZはシンガポール発の自販機で、例えばIJOOZは、世界中のオレンジファームと直接契約していて、その供給システムが国内メーカーとは異なるようです。ただ、季節によって収穫されるオレンジの種類が異なってしまいます。が、同社は逆に、オレンジの味の違いを楽しんでください、と言っていますね」(前出・経済ジャーナリスト)
国内メーカーの苦戦を尻目に、海外発のオレンジジュース自販機は今後も増えていきそうな勢いなのだ。
(小林洋三)