東京五輪「失策」で30年冬季五輪候補地・札幌は招致断念も!?

 連日のメダルラッシュが報じられる一方、開幕直前の関係者の相次ぐ炎上騒動、懸念されていた新型コロナの第五波が現実のものとなり、どこかいまひとつ盛り上がりに欠ける東京五輪。無観客によるチケット代金の返金などで興行的には完全な失敗だと言われている。

 国民の同意なき五輪開催に踏み切った政府に対する反発も強いが、今回の強行開催は今後の国内の五輪招致に大きな影響を及ぼす可能性が高いという。五輪の招致事情に詳しいスポーツライターは次のように語る。

「そもそも半数以上の日本人が東京五輪の中止や再延期を望んでいました。会場やそれに伴う施設・設備の建設で莫大な経費がかかり、それは国民の税金などで賄っています。そのため、『別の施策に使うべき』という声も多く、『もう日本で五輪を開催しなくていい』なんて意見も少なくありません」

 現在、札幌市が30年冬季五輪の国内候補地として名乗りを上げているが、五輪開催に懐疑的な見方をする世論が招致レースに大きな支障をきたすことが懸念されているのだ。

「4月上旬に北海道新聞が札幌市民に行ったアンケートでは、招致反対派が賛成派を上回りました。恐らく、今なら反対派がさらに増えているでしょう。五輪開催において地元市民からの支持は欠かせません。近年、五輪の招致を断念する都市が増加していますが、その要因のひとつが地元の支持。例えば、24年五輪開催への立候補を表明していた米国のボストン市は、地元市民からの強烈な反対運動で招致を断念しています」(同)

 実際、取材した札幌市民からは「五輪よりも市民の生活向上のために税金を使ってほしい」「そんなに頻繁に日本で開催しなくていい」といった厳しい意見が寄せられた。

 8月上旬に札幌で予定されている競歩・マラソンについても冷めた見方をする市民が多い。地元からの後押しが得られない今の状態では、30年冬季五輪を招致させるのはかなり厳しそうだ。

(トシタカマサ)

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