2020年東京五輪のマラソンと競歩の開催地が、札幌に移ることが正式決定した。11月1日に国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会、東京都、政府による4者会議にて決着に至ったもの。
この開催地移転については東京都の小池百合子知事は「合意なき決定」と不満を隠さない。一般市民からも批判が噴出しており、〈札幌だって夏はけっこう暑い〉〈東京が曇りで札幌が晴れだったらどうなるのか?〉といった否定的な声も伝わっている。では当の札幌市民はどのように捉えているのか。
「いま札幌市民が最も憂いているのは、札幌が悪者かのように扱われること。札幌としては自ら開催地に立候補したわけでもなく、小池都知事と同様に『寝耳に水』だったのです。それがまるで開催権をかすめとったかのように言われたり、開催地として不適切だと批判されても、『我々に言わないでくれ』との思いが募るばかり。しかしその態度をあからさまにするとさらなる反発を呼ぶので、いまは理不尽な批判もやりすごすしかない状況です」(在道ライター)
そんな札幌ではいま、マラソンの開催会場について議論が白熱しているという。
「もともとはオリンピックスタジアム(新国立競技場)をスタート/ゴールとしており、開催地が変わっても同程度の大会場が必要となるはず。札幌でその規模の会場は札幌ドームしかないのですが、周辺の環境がマラソンに不向きで、すでに候補から外れたと言われています。一部の報道では中心部の大通公園を発着地にするとのことですが、ただの公園で選手の待機場所もないですし、現実的ではない。そうなると札幌冬季五輪の開会式が行われた真駒内セキスイハイムスタジアム、もしくは国体会場となった厚別公園競技場あたりが有力候補となりそうです」(同前)
本番まであと9カ月での開催地変更。最もてんてこまいなのは、当の札幌だろう。
(北野大知)