汚職が影響?「30年冬季五輪」開催地決定を「無期限延期」それでもIOCが札幌でやりたい理由

 日本の札幌も誘致に手を上げている30年冬季五輪。国際オリンピック委員会は来年9〜10月に開催される総会の場で決めるとしていたが、12月6日に延期を決定。ただ延期するだけではなく、決定時期まで白紙になってしまった。

「IOCは当初は来年5月の総会で決定する予定でした。ところが役員選定が適切に行われていなかったとして9〜10月に延期。そして再びの延期です。今回の延期の理由は、気候変動の問題。地球温暖化で安定して冬季五輪を開催できる都市があまり見当たらなくなっていることから、候補地は10年以上、雪上競技会場の平均最低気温がマイナスであることを証明するという基準案が提出されたそうです」(スポーツライター)

 だが当の日本人であれば、そんな延期理由を額面通り受け取る人はいないだろう。要は札幌が候補地に入っているのだから、五輪汚職の問題にIOCもピリピリとしながら今後の帰趨を伺っているのだろうと推察するのはたやすい。

 しかも誘致ではアメリカのソルトレイクシティとカナダのバンクーバーの三つ巴の争いになっているのだが、札幌が最有力というのだから尚更そうだ。

「1つは他の2都市の事情があります。バンクーバーでは金銭的理由から辞退する可能性があって、ソルトレイクシティは28年にロサンゼルスで夏季五輪があるので、少し間を空けた34年に開催したいのが本音です。2つ目は環境問題。22年の北京五輪では雪が足らずに雪上コース全面に人工雪を使って話題となりましたが、バンクーバーも10年の五輪の際は雪不足で、高山から雪をヘリで運んでしのいだという経緯があります」(同)

 すると積極的にも消極的にも札幌が適任ということになるのだが、東京五輪では当初経費が7000億円だったところが実際には1兆7000億円もかかった事実がつい最近のこととしてあり、さらにそのお金も汚職に塗れていたという事実が明らかになっている。

 さらに驚きなのは、総会の延期の発表だけでなく、難航する候補地探しに、所定の都市で「持ち回り開催」のプランまで上がっているということだ。

「今時金食い虫の五輪を積極的に誘致したいという都市はなかなかありません。だから環境的にも経済的にも安定して五輪を開催できる札幌は残しておきたいのでしょう」(同)

 だが来年4月には札幌市長選があって、五輪開催の是非が市民を2分する争点になるのは確実。それで反対派が勝利すれば全てが水泡に帰するわけで、IOCとしては頭の痛い問題が続くことになる。

(猫間滋)

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