ススキノ「感染店リスト」が流出!ハートマークで格付けされた店舗が大激怒

 内部資料には、ハートマークの数で感染リスクの高さが示されていた——。

 8月7日、北海道新聞(電子版)は、札幌市保健所が作成した札幌市の歓楽街・ススキノの「感染店リスト」が外部へ流出したと報道。ススキノの街に激震が走った。

 記事によれば、 流出したのはススキノにある、いわゆる「接待を伴う」飲食店のうち、店の利用客や従業員から陽性者が出るなどした27店のリスト(7月27日付)で、店名と業態、住所のほか、注意観察が必要な期間などが記載されており、情報の文量はA4判の用紙で3枚分だという。

「リストには、感染リスクの高さを示す『注意レベル』がハートマークで3段階表示されていて、『利用客及び従業員から陽性者が発生した店舗』であるハートマーク3つのレベル3が5店。続いて、『従業員から陽性者発生』などのレベル2が9店、そして、レベル1にあたる『従業員から陽性者が発生した店舗の系列』として13店が挙げられていました」(全国紙社会部記者)

 当然のことながら、感染拡大で厳しい経営状況に置かれる中、顧客情報を提供するなどして協力してきた店側は、大激怒。「寝耳に水だった」という店の関係者は、

「うちの店では、これまでもお客さんや従業員への検温、消毒、換気を徹底してきたし、これまで保健所には協力してきた。だいいち、感染リスクや判断の根拠を当事者に示さず、いきなり公表するとはどういうことなのか! 稼ぎ時の夏休み時期、市はどうやって責任を取るのか」と憤る。

 とはいえ、このニュースを受けSNS上では、《流出したことは良くないことだが、公表しないことの方が問題なのでは》《食中毒を出したら店名公表するよね? それと一緒。きれいごと言うなって》《情報漏洩は別として、札幌市民の思いが伝わったのでしょうか。不特定多数が訪れる場所は注意喚起のために、公表すべきでしょう。隠すから余計に叩かれる》と、公表は致し方ないといった見方が大半を占めていたようだ。

 だが、一方、内部資料が外部へ流出してしまった事実については、

《感染店リストで夜の店を敵対視している人は狂喜乱舞だろうが、ちょっと待って!内容よりも漏洩されたことを問題視すべき。意図的か、うっかりかを調べて責任者の処分までしないと駄目じゃないか!喜んでいる場合じゃないよ!》《意図せず流出したということは、情報管理のずさんさが伺える。ほんとありえない公表の是非や、流出の是非という問題はおいといて、危険度をハートマークで表示するっていうのは役所の書類としてどうだろう。もうちょっと真面目にヤレと思います》と、ずさんな管理体制を改めるべき、という意見も多かった。前出の社会部記者が語る。

「5月には愛知県でも、コロナウイルス感染者495人の個人情報が県のウェブサイトに誤って掲載され、その時には、感染者の職業や会社名に加え、感染者とのつながりについて『家族』『同僚』のほか『恋人』『愛人?』などと書き込まれたメモがあったことで、県には『損害賠償を求めて裁判を起こす』といった苦情が殺到しましたからね。今回の件も、外部には漏れないとタカをくくっていたかもしれませんが、ハートマークは余計でしたね。結果、そのふざけた格付けが、必要以上に店側を怒らせる要因になったことは間違いないでしょう」

 厚生労働省はクラスターが発生した飲食店などについて「感染経路が不明な場合は店側の同意なしで都道府県が店名を公表できる」とした通知文を7月28日付で各都道府県に送付した。

「結果、東京都をはじめ、茨城県や群馬県、滋賀県などが飲食店名を公表しています。ただ、公表の必要があるかどうかは、濃厚接触者をどれだけ追えているのか、不特定多数の人が出入りしているのか、保健所の調査に対して協力的なのかなど、ケースバイケース。とはいえ、国がお墨付きを与えた以上、今後は店名公表の流れが加速することは間違いないでしょうね」(前出・社会部記者)

 秋には大量の飲食店が倒産する、と噂されるが、コロナ禍の闇から抜け出す方法はないのか……。

(灯倫太郎)

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