BMWにとってはWパンチとなったかもしれない。
今年8月、常磐自動車道で起きた「あおり運転殴打事件」で、犯人が乗っていた車がBMWのディーラーから借りていた試乗車だったことで、とんだトバッチリを被ったばかりのBMWだが、今度は日本法人「ビー・エム・ダブリュー」に、公正取引委員会が独占禁止法優越的地位の濫用の疑いで立ち入り検査をしたことが、9月11日に明らかになった。
「関係者によれば、同社は数年前からBMWとディーラー契約を結ぶ際に、達成不可能な販売台数をノルマに設定し、多くの達成できない販売店に新車を買い取らせていたと見られています。BMWはメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンに次いで輸入車の販売台数シェア3位を誇りますが、その裏には不当なノルマ契約があった可能性があるわけです」(社会部記者)
この報道にネット上では、《中古車サイトを見ていると異様にBMWの新古車が多いのはそういう理由だったのか》などという指摘がある一方、《どこの輸入車ディーラーも変わらないだろう》《なぜBMWだけ狙われたのか》といった、厳しいノルマが課せられるのが普通だとの見方もある。
「昔から輸入車のディーラーには厳しいノルマが課せられていたのは有名な話ですが、今回立ち入り調査が入ったBMWの場合、度が過ぎていたということなのでしょう。しかし、達成不可能なノルマを与えて販売店に新車を買い取らせるのは、あまり賢い方法だとは思えません。買い取った新車を売るためには新古車、すなわち未使用の中古車になってしまう。となると、新車を買わずに新古車が出てくるのを待つ購入者が増え、ますます新車が買われなくなくなるという悪循環に陥るからです。BMWが3位から上にいけないのは、こうした過剰なノルマが原因なのかもしれません」(経済ジャーナリスト)
せっかくのブランドイメージと品質の高さを自ら落としているとしたら、なんとももったいない。
(小林洋三)