アップル、集団訴訟に和解で110億円支払いも「何も変わらない」指摘のワケ

 米アップルは8月27日、「App Store」での手数料が独占禁止法にあたるとして複数のアプリ開発者と集団訴訟になっていた問題で、外部決済方法の宣伝を認めるなど「App Store」における制限を緩和することで和解したが、ネット上では《何も変わっていないのでは?》と疑問の声も上がっている。

 今回の裁判は、Epic Gamesの人気ゲーム「フォートナイト」が、アップルから売上の30%が徴収されることを不服として「App Store」を介さない独自の課金システムを導入したことにより、“ガイドライン違反”としてストアから削除されたことに端を発している。

「App Store」でリリースされたアプリは、そのアプリ内で発生した売上も30%がアップルに徴収される仕様になっており、例えば「YouTube Premium」はパソコンのブラウザから入会した場合は月額1180円だが、iPhoneなどiOSのアプリから入会すると月額1550円と割高になっているのはそのためだ。

 また、このようにiOSアプリ以外から決済すると得であることの宣伝はこれまでも可能だったが、アップル側が難色を示していたため、「Kindle」のようにiOSアプリでは電子書籍を購入できず、購入方法のアナウンスや外部購入ページへのリンクすらないアプリも多かったのだ。

 今回の集団訴訟は、アップルがiOSアプリ内で外部の決済方法を宣伝することを認め、アプリ開発者に計1億ドル(約110億円)の支払いをすることなどで和解したが、ネット上では《要するに、アップルが外部決済の宣伝に嫌がらせするのだけはとりあえずやめるってことだよね。ほとんど前進してないように感じる》《今後も多くのiOSアプリは売上の30%はアップルに徴収されるわけか》《アプリ開発者が和解金ゲットできたのは唯一良かったことだけど、アプリの人気を考えれば微々たるものだろう》などといった指摘が多く出ている。

「アップルが譲歩して和解したと報じるメディアもありますが、今回の勝者はアップルとの見方が強いですね。結局は独占禁止法が指摘された売上30%の徴収は今後も続くこととなりました。最近、アップルのティム・クックCEOが就任10年を迎えて825億円相当のボーナスが支給されたことが話題になりましたが、もう少しアプリ開発者に対しても寛大な対応をしてくれればと思ってしまいますよね」(ネットライター)

 Epic Gamesが言う“アップルの市場支配”はまだ続きそうだ。

(小林洋三)

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