4月18日から中国で開催されている上海モーターショーで起きた騒動が波紋を広げている。独BMWのブースでは来客にアイスクリームの無料配布をおこなっていたが、外国人と中国人で対応が違うとして批判が殺到。この件を中国メディアも大きく取り上げ、騒動は収まるどころかさらに過熱。BMW車の不買運動にまで発展しているのだ。
「中国のSNS上に19日、上海モーターショーで撮影された動画がアップされました。そこではBMWの中国人スタッフが中国人客に対しアイスクリームは品切れたとして無愛想に断っているのですが、その後に訪れた外国人男性には愛想よく配布する姿が収められていたのです。動画は瞬く間に拡散し、翌日にはBMWのブース前に差別行動への抗議の意味で市販のアイスクリームを配る人が現れるなど、会場はカオスな状況になっていました」(モータージャーナリスト)
BMWは20日に公式SNSで「内部管理の不手際とスタッフのミスで不快にさせた」と謝罪文を投稿。だが批判は収まらず、翌21日には「中国人の女性スタッフは若く業務経験があまりなかった」などと、より詳しい説明つきの再謝罪に追い込まれた。
それでも中国人のBMWに対する怒りは増すばかりで、中国メディアによれば、BMWの車を所有する社員に中国車への乗り換えを促す企業が現れ、SNS上にもBMWの不買を呼びかける声が多数あがっているという。
「騒動後にBMWの株価は3%以上も下落し、時価総額にしておよそ3000億円が吹き飛んだといいますから、さすがに笑えません。問題の動画を見る限り、中国人女性スタッフの態度は確かに横柄に見えますが、これはBMWというよりもスタッフ個人に問題があったように思えます」(前出・モータージャーナリスト)
ではなぜ、ここまでBMWが執拗に攻撃されるのか。
「実は昨年も同じモーターショーでテスラが批判に晒されたことがあったのです。最近では高級ブランドのディオールの広告を巡って不買運動が起こるなど、最近の中国では予想外のことで外資系企業が集中攻撃を受けています。中国は巨大なマーケットですが、進出するにはこうしたリスクがあることも理解すべきでしょう」(中国事情に詳しいライター)
まさかアイスクリーム一つでこんなことになるとは、想像だにしなかっただろう。
(小林洋三)