道交法改正によって“あおり運転”が妨害運転罪として厳罰化されてから3年がたった。あおり運転による取り締まりは年々減少傾向にあるが、その一方でわざと追い越し車線をゆっくり走るなどの“あおらせ運転”が増えているとの指摘もある。
「2017年にあおり運転が原因で夫婦が死亡した東名あおり運転事故が発生して以降も、19年には茨城県守谷市の常磐自動車道にてあおり運転で挑発し、車を停車させて殴打するという事件が発生。あおり運転が社会問題化しています。こうした事件をきっかけに20年には、対向車線にはみ出す、急ブレーキをかける、車間距離を極端に詰めるなどの行為を通行妨害目的で行った場合には妨害運転罪が適用されることとなり、罰則としては3年以下の懲役または50万円以下の罰金。重大な危険を生じさせた場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金と罰則が強化され、どちらも一発で免許取り消しとなります」(社会部記者)
最近はドライブレコーダーの搭載車が多いため、妨害運転罪の取り締まりは自体は減っており、チューリッヒ保険が22年7月に公表した「2022年あおり運転実態調査」によると、あおり運転をされた経験があると回答した人は51.3%で、18年の調査からおよそ20%も減少していることからも、あおり運転は減少傾向にあると言えるだろう。
「あおり運転は減っているのですが、その一方であおらせ運転を受けたといった報告がSNSなどに増えています。あおらせ運転とは、追い越し車線をゆっくりと走ったり、何もないところで急にブレーキを踏んだりして、わざと後続車からあおられるような運転をすることです。こうした運転をして後続車が接近した状況をドライブレコーダーやスマホなどで撮影し、Youtubeに投稿する常習的な“あおらせ屋”もいます。また、あおり運転を撮影したとして金品を要求するゆすり行為をしてくる輩もいるといいますから、少しでも変な運転をする車がいたら近づかないことをおすすめします」(モータージャーナリスト)
相手の運転にイライラして挑発に乗らないように注意しよう。
(小林洋三)