日本相撲協会は春場所（大阪）を前にした3月8日、大阪市内で年寄総会を開いた。親方衆全員が出席する定例の会合の席上では、元幕内・北青鵬の暴力問題で処分を受け師匠の立場も外れている宮城野親方（元横綱白鵬）が謝罪した。
協会関係者によれば、宮城野親方は春場所でこれまで通り「場内警備」を中心に従事する予定で、「外出自粛などの処分も検討されたようですが、これで宮城野親方は毎日場所にも通い、勤務することになります」（相撲担当記者）という。
今後注目されるのは、宮城野部屋の扱いだ。春場所後の理事会で「取り潰し（閉鎖）」が議題に上がる可能性が極めて高い。相撲部屋での不祥事があった場合、これまではそれぞれの一門で対処してきた。今回も宮城野部屋所属の伊勢ヶ濱一門で処遇が検討されたが、結論は出ていない。
「実は宮城野部屋の取り潰しについては、一門だけではなく相撲協会の執行部（八角理事長）が“お目付役”として目を光らせている。一門が出した処分について甘いと認識すれば“差し戻し”の可能性もある。それだけ執行部の怒りは凄まじいです」（相撲記者）
もちろん、これは宮城野親方本人に向けたものであることは言うまでもない。現役時代に多くの処分を受けた親方に対する“怒り”が、今回の不祥事で一気に何倍にもなって炸裂している格好だ。
「とにかく宮城野親方と協会執行部は不仲。引退の時の断髪式では協会の現職理事が八角理事長を筆頭に誰一人としてハサミを入れていません。それだけ根深いということです」（夕刊紙記者）
伊勢ヶ濱一門がなんとか宮城野部屋の存続の道を模索しても、宮城野親方を“追放”に追い込みたい協会執行部がそれを通す流れではなくなっている。春場所後に続投が正式に決まる八角理事長がトドメを刺すレールが、着々と敷かれている。
（小田龍司）
