【ロシア】ナワリヌイ氏が獄中で追い込まれた「100日連続プーチン演説」の洗脳イジメ

 3月17日に行われるロシア大統領選挙を間近に控え、2月に収監先だった北極圏の刑務所で死亡した「反プーチン派」の急先鋒、アレクセイ・ナワリヌイ氏の妻、ユリア氏による抗議活動が続いている。

 ユリア氏は投票日当日を「反プーチンの正午」と名付け、投票用紙にプーチン氏以外の候補を記名するか「ナワリヌイ」と記入する、さらに投票用紙を汚すなどして抗議すべきだと市民に訴えている。ただ、これは夫のナワリヌイ氏が生前、刑務所内から弁護士を通じて公表していたメッセージで、それから2週間後、帰らぬ人となってしまった。

「プーチン氏としては、彼がまさに目の上のたん瘤だったことは間違いない。しかしナワリヌイ氏はロシア国内だけでなく、世界の要人たちともネットワークを持ってたため、簡単に殺害することが出来なかった。だからこそ、刑務所内で真綿で首を絞めるように…という手段を選ばざるを得なかったのではないか、と支援団体は見ているようです」(国際部記者)

 同氏が北極圏の過酷な環境下にあるヤマロ・ネネツの刑務所で死去したのは2月16日のことだが、散歩の後に気分が悪くなったと訴えて急死したという。まだ47歳。当局の発表によれば死因は「血栓症」で、刑務所を訪れた母親と弁護士に対しても、「突然死症候群だった」と説明したという。

「ただ、ナワリヌイ氏の弁護士らは彼が生前、刑務所当局からさまざまな『嫌がらせ』を受けていたと主張しており、毎夜1時間おきに見回りに来て顔を懐中電灯で照らし眠らせない、あるいは高熱や激しい咳が出ても、投薬や入院を拒否していたという。さらに昨年7月には、その年2月にプーチン氏が議会で発言した演説を100日間連続で強制的に聞かされた、というナワリヌイ氏の訴えもあったそうです。それに関して刑務所当局は『社会に対する敬意ある態度養成ため』などと説明したそうですが、これが事実なら、まさしく精神状態に支障をきたす陰湿なイジメ行為が連日繰り返されていたということになるでしょう」(前出・国際部記者)

 ロシアの人権団体「OVDインフォ」は、「ナワリヌイ氏の死亡は計画的に、整然と実行された殺人である。劣悪な環境の刑務所で、彼を毒殺したり暴力行為で殺害したりする必要はなく、単に(彼が死ぬのを)待つだけでよかった」との声明を発表しているが、当局は死因を「血栓症」と断定しているものの、遺体の司法解剖も行わなかったという。

 本当に突然死だったのか、あるいはイジメによる間接的殺害だったのか…、謎は深まるばかりだ。

(灯倫太郎)

ライフ