【ロシア】ウクライナ戦争にカネをつぎ込んでいる場合ではない「脆弱すぎる道路事情」

 米国の仲介で4月20日を目途に停戦合意を目指していると報じられているロシアとウクライナ。ただし、現在はまだ激しい戦闘が繰り広げられており、両国ともに戦場である前線には連日補給のトラックが行き来している。

 だが、ロシアの道路事情はお世辞にも良いとは言えないようだ。国土交通省「道路統計年報2022」には世界各国の道路に関するデータも公開されているが、それによるとロシアの高速道路の総延長は18年時点で1293キロ。これは日本の約7分の1以下の距離しかなく、国土の広さが世界一であることを考えると驚くほど短い。

「ロシアの道路舗装率は70%程度。シベリアには一部区間が未舗装の幹線道路が少なくありません。しかも、舗装されていても地方に行くとアスファルトの質も悪い。整備も行き届いてないため、路面状況がひどい道路も多い」(ロシアの交通インフラ事情に詳しい全国紙記者)

 それでも人口の多いロシア西部は、比較的整備されているとか。それに19年には、モスクワとサンクトペテルブルクの2大都市の間にM11高速道路が誕生。23年にはモスクワと国内第5の都市カザンの間に、“ロシア版アウトバーン”と呼ばれるM12高速道路が開通した。

「ここに来てようやく、という感じですが、高速道路の数はまだまだ足りません。ゆえにロシアは物流に問題を長年抱えたまま。ウクライナとの前線まで軍需物資を運ぶのにも時間を要しています」(同)

 一般道でも首都モスクワの道路網でさえ脆弱。交通情報調査会社のインリックス・リサーチ社が毎年発表している「世界で渋滞がもっともひどい都市ランキング」で2年連続1位になったこともある。

 軍事費に莫大の予算を付けるのであはれば、道路の建設・整備の費用に回した方がいいと思うが…。

※画像は、モスクワの赤の広場前の道路。近くにはロシア全土の道路の起点となる「ゼロ・ポイント」がある。

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