「外食産業倒産」過去最高で「俺の行きつけ」消滅(1)忘・新年会でも客足戻らず

 日経平均株価がバブル期超えの史上最高値を更新する中、東京商工リサーチの「2023年(1~12月期)『飲食業の倒産動向』調査」によれば、昨年1年間に倒産した飲食業は過去最多の893件(前年比71.0%増)を記録していた。コロナ禍を乗り切ったのに客足は戻らず、「俺の行きつけ」が深刻な人手不足や物価高騰で経営難に苦しめられているのである。

 コロナ禍が始まり外食産業の需要が激変した2020年、倒産は急増し過去最多の842件に達した。あれから3年、アフター・コロナに入った23年にそれを更新する深刻な事態となっていたのである。

 東京商工リサーチ情報本部の松永伸也氏が話す。

「(データで)扱っているのは負債1000万円以上で倒産した全国の飲食店です。倒産するには、裁判所で破産手続きをする資金が必要となります。そのため、倒産することすらできずに夜逃げをするというケースもある。もちろん、負債がそこまで膨らむ前に閉店した飲食店も多くあるので、倒産件数というのは姿を消した飲食店の一部の数字ということになります」

 あくまで氷山の一角というわけだ。

 ところで、時短営業、休業を余儀なくされていた期間、21年には648件、22年は522件と、実は倒産件数は減っていた。

 消費経済アナリストの渡辺広明氏が、昨年になぜ事情が変わったか、理由を解説する。

「コロナ禍では飲食業にとって、売り上げが前年同月比で50%以下だった場合に給付が受けられる『持続化給付金』や、店の賃料を支払っている場合に受け取れる『家賃支援給付金』など手厚い支援が大きかった。現在は人流が回復したとはいえ、コロナ前よりも人が外出しなくなりました。人口の減少もあって国内のニーズが落ち込む中、需要はインバウンド以外に期待できなくなっている」

 昨年末から年始にかけて、忘年会や新年会の復活が期待された。ところがリモートワークが一般化され、文化、習慣が変わってしまったのか、大人数での宴会を開催する企業や団体は少なくなっている。

「箱が大きいほど、宴会で売り上げを見越している店が多いです。書き入れ時でも客足は戻らず、年越しで干上がって、融資を要請する飲食店が出ていると聞いています」(松永氏)

 倒産原因のトップは「販売不振」の734件(前年比71・8%増)で、そのうち6割以上の475件が「コロナ関連倒産」(「コロナのせいで」と言質が取れたもの)。

 思い返せば、コロナ禍の自粛期間中にもかかわらず多くの客が集まり、かえって繁盛していた店もあったが‥‥。

「休業する店がある一方で、給付金を受け取らずに営業を強行する店がありました。近隣のライバル店が軒並みシャッターを下ろす中、そこしか店が開いてないという理由で、自然と客が集まり盛況となった。コロナ前の2~3倍も客が詰めかけ、『家を買い替えた』などと豪語する寿司店の店主もいたほどです。ところがその反動か、当時に殿様商売をしたツケなのか、今では閑古鳥が鳴く日も珍しくはない」(都内繁華街の飲食店店主)

 また、支援を臨時収入と勘違いした者もいて、

「休業や時短営業の求めに応じた飲食店には『感染拡大防止協力金』が支払われました。後に多くが税金で回収されてしまうことが注意喚起されましたが、経費で認められる店舗の改装などの費用に充てる店は多かった。私も21年に1000万円ほど協力金をもらいましたが、翌年に保険料が10倍増、都民税が8倍増で、結果的に600万円返しています。ところが、後先考えず、時短営業すらせずによその店で飲み歩き、臨時ボーナスのような感覚で新車を購入する店主もいましたからね」(飲食店店主)

 常連たちが「行きつけの店を守ろう」と通常営業になってからも通って支えるのは、当時の営業姿勢にもよるのだろうか。

(つづく)

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