3年で10倍「無人餃子店」増え過ぎで、倒産相次ぐ「からあげ店の二の舞」懸念

 様々な場所で見かける機会が増えた「無人の餃子販売所」。コロナ禍に入って3年で10倍以上と店舗を急増させているが、ここに来て出店ペースは鈍化してきている。コロナが5類に分類されたことで外食が好調なこともあり、今後は減少の一途をたどる可能性も高いという。

「無人の餃子販売所は2020年度末までにはわずか131店舗しかありませんでした。しかし、省スペースかつ低コストで出店が可能で、人件費も不要であり、22年度末にはコロナ禍の巣ごもり需要を受けて1282店舗と爆増したのです。販売する冷凍餃子は1パック(30~40個入)1000円と決して安くはありませんが、良いものにはお金をかける人たちが増えたことによって専門店の味を謳う餃子はまたたく間に人気となっていったのです」(フードライター)

 しかし、23年度は7月時点の店舗数が約1400件と出店ペースは明らかに鈍化してきている。コロナの5類移行の影響で外食をする人が急増したことが一番の原因と考えられる。さらに、コロナ禍に同じくブームとなった「からあげ専門店」と同様に、店舗数が急増したことで競争が激化。からあげ専門店は今年1~6月までの倒産件数が過去最多となっているが、同じ道を歩もうとしているのかもしれない。

「さらに、無人販売所にはひとつ大きな問題がありまして、それが窃盗の多発です。無人販売は性善説を前提に、それほど窃盗対策をしていない店舗も多いのですが、全国各地で窃盗被害が相次いでいます。防犯カメラを導入しても堂々と盗んでいく輩もいて、無人から有人に切り替える店舗も出てきているほど。しかし、有人にしてしまうと人件費によって一気に利益は少なくなりますから、出店すればするだけ利益が出たというコロナの頃とは状況は一変しています。外食に客を奪われ、対策をしなければ窃盗され放題。今後は店を閉める決断をするところも増えてくるのではないでしょうか」(経営コンサルタント)

 最近では餃子以外の商品を一緒に販売するところも増えているというが、このまま無人販売所を維持することはできるのだろうか?

(小林洋三)

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