「食品サンプルがバカ受け」中国人観光客が殺到するエリアとは?

 いよいよ、中国の旧正月にあたる「春節」、2月10日が間近に迫ってきた。中国では毎年、17日までの8連休に数十億人が大移動すると言われ、今年は連休前後を含め、過去最多の90億人が大移動する見込みだという。

 そんな中国人の旅行先として、日本は相変わらず人気だが、なかでも近年、人気沸騰中なのが岐阜県で、中国人観光客の多くが利用するツアーサイト「KKday」による都道府県のランキングでは、東京・大阪などの都市圏に次いで、なんと岐阜県が5位にランクイン。しかも前年マイナスの前出トップ2に対し、岐阜は前年比200%の予約だというから、驚くばかりだ。旅行ジャーナリストが解説する。

「中国人に岐阜が人気の理由はいくつかあって、ひとつが世界遺産にも登録されている合掌造りの集落として有名な白川郷です。岐阜を訪れる中国人は日本へのリピーターが多く、すでに東京や大阪、名古屋、福岡といった大都市は観光しているため、次回は自然溢れるこの地を選んだ方が多いようです。さらに、岐阜県の郡上八幡は食品サンプルの生産量が日本一ということもあり、愛知県の中部国際空港で、手荷物が出てくるベルトコンベアの上に食品サンプルを置いたところ、これがバカ受け。結果、関市にある『刃物屋三秀・関刃物ミュージアム』で包丁を購入したり、食品サンプル創作館の『さんぷる工房』で食品サンプルづくりを体験する観光客が急増しているようです」

 食品サンプルは日本固有の文化として、独自の発展を遂げてきたものだが、印刷技術の発展により90年代以降は、食品サンプルそのものを飾る飲食店が減少。このまま衰退していくのでは、と危惧されていたが、海外からの観光客から大人気の土産となり、再び脚光を浴びることになった。

「現在は、中国や台湾、韓国でも食品サンプルは製造・販売されていますが、やはり精巧さでは、日本の足元にも及ばないと言われますからね。そんなこともあり、中国人観光客にもお土産として大人気のようです」(同)

 ところで、岐阜県が注目される一方、春節での大移動を見込んで、旅行会社による多種多様の中国人向けツアーも目白押しで、中にはターゲットを年収1億円以上の富裕層に絞った1人1000万円という驚きのツアーも登場している。

「同ツアーでは、マグロ1本買い取り寿司体験をしたり、スキー場を1日貸し切りにできる、あるいは、専属メイクアップアーティストが1週間付きっきりで、メイクや洋服のコーディネートをしてくれるなどのプランが用意されているようです」(同)

 さらに富裕層たちの健康診断ツアーも人気で、中国の富裕層は日本同様、健康意識がとても高い。そのため、日本に数台しかない最先端CT機器を使った健康診断が出来る、などという謳い文句にも人気が集まっているようだ。

 むろん、インバウンドで中国人観光客が金を落としてくれることは喜ぶべきことだ。ただ、中国では現在、新型コロナウイルスの新変異株「JN.1」が主流になっており、春節に伴う人流増加で感染拡大について懸念の声が上がっていることも事実。目の前に迫る春節を前に、そうならないことを祈るばかりだ。

(灯倫太郎)

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