先月28日に行った福岡県内での講演で、上川陽子外相について、その手腕を高く評価する一方「このおばさん、やるねぇ」「そんなに美しい方とは言わんけれど」と、年齢や容姿に言及する発言をしたとして、与野党から批判の声が相次いでいた自民党の麻生太郎副総裁。2日夜になり「表現に不適切な点があったことは否めず、指摘を真摯に受け止め、発言を撤回したい」としたものの、一度あがった火の手は収まりそうにない。
「31日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)では、コメンテーターで元AERA編集長の浜田敬子氏が、『人の容姿に言及したり評価するというのは、今の時代、言語道断。麻生さんのこの発言の心の奥底には、女性蔑視的な考えがあるんだろうなと思います』と批判。ただ、上川外相本人が『さまざまなご意見や声があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている』と受け流したことについて、『残念だなと思いました。こういう振る舞いをみせられると、女性たちが抗議をしてはいけない、賢く受け流さないといけないと思ってしまうので、すごい罪深い』と発言。すると、SNS上には《おっしゃるとおり。番組で発言してくださってありがとうございます》といった賛同の声の一方、《勝手に個人の価値観を押し付けて上川大臣の発言を「残念」とか言うの信じられない。差し出がましい》といった声もあり、浜田氏のコメントには賛否両論が寄せられています」(ワイドショーデスク)
むろん、野党の女性議員たちも黙ってはいなかった。辻元清美参院議員が31日、X(旧ツイッター)を更新し《上川大臣が受け流したことを大人の対応と持ち上げる一部メディア、こんな言説・風潮が女性蔑視を温存していることに気づくべき》とポスト。蓮舫参院議員も2月1日、辻元氏のX投稿を引用しながら《大人の対応ではないでしょう。毅然と『おかしい』と指摘することこそ大人の対応です》。2日の参院代表質問で「なぜ抗議しないのか」と追及した同党の田島麻衣子議員も、上川氏から直接回答が得られなかったことで《この同調圧力の強い日本で、年齢や容姿を揶揄されて辛い女性・男性にも、同様の対応を、暗に強いることになる。残念です》とポストするなど、女性議員たちのボルテージも上がるばかりだ。
そんな中、4日放送のテレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」でも、この問題を取り上げたのだが、ゲスト出演した元衆院議員の宮崎謙介氏が興味深い持論を披瀝した。いわく「(麻生氏は)次は岸田さんじゃなくて『上川だぞ』って。俺がこういう発言をすれば、炎上すれば上川に注目が集まって、総裁選の土俵に上川が乗るってところまで考えてやっている」。すると、元宮崎県知事の東国原英夫氏も同調して「上川さんに対する褒め方、これは明らかに『次の総理は上川だぞ』ということを宣言してますから。つまり麻生派は次は上川を推すぞと。大宏池会を作るというのが麻生さんの理想なので、大宏池会は上川を推すぞと。そのシグナル」と解説したのだ。
それが事実であれば、上川氏が抗議しないのも納得だが……。
(灯倫太郎)