佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」10年に1度あるかの大チャンス!桜が咲く頃まで株式ブームは続く

 日経平均が90年2月以来、約33年11カ月ぶりの高値だ。

 当時、外資系銀行員だった私は、その後のバブル崩壊を目の当たりにした。多くの人から「日経平均はどこまで下がるのか?」との質問がどんどんきた。「もうすぐ下げ止まりますよ」という答えを求めたものだが、私の回答は「もっと、どんどん下がります」だったので、多くの人に嫌な顔をされた。その予想に怒った人もいた。

 特に関西の有力地銀の私より25歳以上年上のベテラン銀行員は、あからさまだった。毎日のように株価はどんどん下がり、持ち株の評価益は評価損に変わっていたはずだ。「しばらく我慢していれば、持ち直して、利益は戻ってくる」。そう言ってほしかったのだろう。

 下がり続ける株価に投資家の反応は2つに分かれた。まだ下がることを受け入れて、持っている株式を売却し、不動産を多少の損失は出ていても売り払った人は随分とよかった。儲けを少しは確保できたり、損失を最小限にすることができたからだ。

 しかし、神頼みをして現実を受け入れず、様子をズルズルと見ていただけの人は損失をどんどん膨らまし、33年間利益が戻ってこなかったことになる。

 正月に出演したABEMAの番組で、新NISAの導入もあり、春先までは株価は上がると明言した。新NISAを使って投資を始めるのなら1月中がいいとも断言した。

 1月12日の日経平均は上がって終わった。テレビやネットのニュースでは、そこまでしか報じられていない。しかし、東京証券取引所のプライム市場(かつての東京証券取引所の一部とほぼ同じ)の株価の上げ下げを見てみると、値上がりした銘柄は417に対して、値下がりしたのは1209もあった。

 ユニクロを経営するファーストリテイリングなど一部の会社が全体を押し上げただけで、多くの銘柄はすでに4日間も大幅に値上がりしていたので、利益確定売りも相応に出て、多くの個別銘柄は下げて終わったというわけだ。

 私はひと安心した。これなら、まだ上がると判断できたからだ。

 日経平均は一時3万6000円に到達。証券関係者の多くが驚くほどの勢いで株価は上がっている。2024年になってから、世界の主要マーケットの中で、東京市場の上昇率がいちばん強い。それに目をつけたのが外国人投資家で、今年に入ってからの再びの円安傾向もあって買いが入っている。

〈投資に興味はあるけれど、今は様子をみている〉という人も多いだろう。しかし、このいい上がりっぷりは、そう長く続くものではない。遅かれ早かれ落ち着き、利益確定の売りが出て、頃合いのいいところまで下がることもある。

 今年の賃金はどれほど上がるのか? 日銀はいつ頃、今の大規模な金融緩和政策の転換をするのか? アメリカの中央銀行に当たるFRBはいつ金利を引き下げるのか? アメリカとヨーロッパの経済の減速が確実視されているが、大きく急に落ち込むのか、緩やかなものか? 中国の景気はいつ回復するのか? さらに落ち込むのか? これらすべてが日本の株式市場に影響を与える。

 大胆な予測だが、桜の花が咲く頃までは、今の株式ブームは続くだろう。しかし、その先はまだわからない。だから、もしも投資を考えているなら、10年に一度あるかないかのチャンスだと思う。

 昨年末に経済アナリストの森永卓郎氏が重いガンを患っていることを告白された。対談や放送で何度もご一緒し、拙著への書評もしてくれた。

 考え方の違いは大きくあるものの、この場を借りて、1日も早い快癒をお祈り申し上げたい。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。著書「素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書」(扶桑社)ほか多数。

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