隣国フィンランドに難民大量送り込み!非人道的「ハイブリッド攻撃」はプーチンの断末魔か

 ロシアによるウクライナ侵略を受け、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請していたフィンランドが31番目の加盟国となったのは、今年4月のこと。フィンランドとロシアとは全長1340キロの国境を接しており、これはEU加盟国の中で最も長い距離である。

 その国境検問所付近に異変が起こり始めたのは、8月上旬のことだ。

「それまでは、月に数人程度だったフィンランドへの亡命を求める難民が突然急増し、11月には1カ月間だけで900人もの難民がビザを持たずに検問所に押し寄せました。しかも、大半がケニアやモロッコ、パキスタン、ソマリアなどからの亡命希望者で、難民の中には自転車で来た者や、凍えるような寒さの中、ロシアの街から数百キロも離れた検問所に薄着のままやってくる人も多く、明らかに不自然だった。そこで、フィンランド国境警備隊が調査すると、国境までの旅費や交通手段などを提供するあっせん業者がロシア内にいることが発覚。それを手助けしているのがロシアの国境警備隊であることがわかったというのです」(全国紙国際部記者)

 フィンランド政府は難民法に基づき、これまで多くの難民を受け入れてきたが、さすがに今回の異常事態を重く受け止め、国家安全保障に対する脅威だとして対策を講じると発表。先月18日には、シリアやイエメン、イラクなどの国からロシアを経由した不法入国者を阻止するため、フィンランド南東部にある4カ所の国境検問所を閉鎖。さらに30日から12月13日までの2週間は、物流を除き他検問所も全面閉鎖すると発表した。

 今回の措置について、フィンランドのオルポ首相は「我々は、ロシア国境警備当局が彼ら(難民)のフィンランドへの入国を手助けしていることを確認している。これは国家安全保障の問題だ」と断言。不法越境者急増の裏には、難民を意図的に送り込んで政治や社会不安を引き起こすための「ハイブリッド攻撃」だとして、ロシアを非難している。

「一部報道によれば、ロシアのキリエンコ大統領府第1副長官が、中東・アフリカなどの難民らを集め、フィンランドの国境に送り込むよう内務省に指示したとも伝えられています。ただし、国境閉鎖により大半の難民がフィンランドから入国を拒否され、結果的にロシアが移民の受け皿になっているようです。プーチン大統領は今月1日、軍の兵員を15%増やすための大統領令に署名し、約17万人の増員に成功しましたが、それでもいまだ北朝鮮から好待遇で兵士を呼び寄せているとの噂が絶えません。前線の兵員不足は解消されておらず、となれば中東やアフリカから呼び寄せて国内に留まっている難民からリクルートすることもないとは言い切れない。今回の姑息な『ハイブリッド攻撃』しかり、もはや勝つためには手段を選んでいられないところまできたプーチンの断末魔が透けて見えますね」(同)

 はたして13日以降、国境封鎖は解除されるのか。ハイブリッド攻撃の行方やいかに。

(灯倫太郎)

ライフ