プーチン激怒!トルコが北欧2国のNATO加盟支持に転じた「前日裏交渉」

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、5月からNATOへの新規加盟の意向を表明していたスウェーデンとフィンランド。

 しかし、トルコはスウェーデンが少数民族クルド人の武装組織「クルド労働者党」(PKK)をかくまっていると非難。また、両国はトルコに対する武器売却の制限を行っているとして、両国のNATO加盟に難色を示していた。

 そんな中、スペインでNATO首脳会議が行われたのは28日のこと。

「実際、トルコのエルドアン大統領はマドリードに入る前日まで、『彼ら(フィンランドとスウェーデン)のあの態度が変わらなければ、我々も変わることはない』と強気の姿勢を崩していなかったとされます。ところが、3国の首脳が初めて顔を合わせ4時間後、突然、3カ国による署名式が始まったというんです。その背景には、フィンランドとスウェーデンが、トルコに科している武器禁輸措置を解除することに加え、トルコ政府と対立するクルド人武装組織メンバー引き渡しについて配慮することで合意。それを条件にトルコが2カ国の加盟を支持するということで結着を見たようです」(国際問題に詳しいジャーナリスト)

 会議終了後、フィンランドのハービスト外相は「私たちにとって重要で、まさに“歴史的”という感触」とコメント。トルコ側も「望むものは得た」との声明を発表。早ければ数カ月以内には、フィンランドとスウェーデンのNATOへの加盟が確定することになった。

 一方、この急転直下の成り行きに、驚愕、激怒したのがプーチン大統領だ。

 ロシアのリャプコフ外務次官は、即刻、「NATOの拡大は、国際問題における不安定要因だ。NATOにとってもほかの国にとっても、安全保障ではなく脅威だ」とのコメントを発表。トルコ側の寝返りとも思える言動に怒りを露わにしたと伝えられている。

 なぜトルコは、あれだけ強硬に反対していた両国のNATO入りを素直に認めたのだろうか。

「もちろん、トルコの『望むものは得た』というコメントが示すように、両国から最大限の譲歩を引き出したことは大きいでしょう。ただ、米国当局の談話を紹介したCNNによれば、会議の前日、バイデン米大統領がエルドアン大統領のもとに電話を入れ、『この問題が解決できれば、米‐トルコの正式な首脳会談もあり得ますよ』と、ひとこと添えたというのです。その鶴の一声が今回の合意に導いた可能性がある、と伝えています」(同)

 現在トルコは、クルド人勢力の問題だけでなく、EU加盟など様々な問題が山積。米国に貸しをつくれば、トルコ側にとってのメリットも大きいはずだ。

 いずれにせよ、両国のNATO加盟が確定すれば、ロシアがNATOと接する境界線は現在の倍の長さになり、ロシアにとって脅威になることは間違いない。

(灯倫太郎)

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