プーチンの訪問決定!トルコが北欧2カ国「NATO加盟反対」の裏で目論む驚愕シナリオとは?

 ロシアとウクライナの停戦交渉仲介に積極的だったトルコが、不穏な動きを見せている。

 先月30日、プーチン大統領、ゼレンスキー大統領と続けて電話会談したトルコのエルドアン大統領は、ロシア・ウクライナ両国が合意すれば、国連を交えた会談をイスタンブールで行うことを提案した。また、ロシアのペスコフ大統領報道官によれば、プーチン氏はトルコ訪問の準備を進めていて、すでに日程も決まっているという。プーチン氏の国外訪問はウクライナ侵攻開始以降、初めてとなる。

 トルコのエルドアン大統領といえば、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟を強硬に拒否している立場。

「NATOとしては、ロシアと1300キロにおよぶ国境を接しているフィンランドは、70年に渡り強固な安全保障体制を築いてきており、スウェーデンは世界有数の兵器開発国なので、両国が加盟すれば、東側の防衛強化という側面からもメリットは大きいと考えています。しかし、トルコのエルドアン大統領は、両国がテロ組織を支援しているとして、NATO加盟を認めないことを表明している。NATOへの新規加盟には加盟30カ国全ての承認が必要。現在も話し合いは平行線のままなので、今後も他加盟国とトルコ政府による水面下での攻防が続くことになるでしょう」(軍事ジャーナリスト)

 トルコは1952年からNATOに加盟しているが、これまでもロシアへの制裁には加わってこなかった。

「その理由は、トルコが2013年に中ロ主導の安全保障機構において『対話パートナー』となったことが大きく、トルコ国内では2020年から人民元による貿易決済も行われるようになりました。つまり、トルコという国は、外交や安全保障だけでなく、経済面においても中ロ両国に大きく依存しているのです」(同)

 そう考えると、北欧2カ国に対する「テロリストを擁護する国をNATOに加盟させるわけにはいかない」という主張も額面通りには受け取れない気もするが……。

「実はトルコは16年、18年、19年と過去3回にわたり、クルド人武装組織シリア人民防衛隊(YPG)が支配するシリア北東部に軍事侵攻しています。一方、米国やNATO諸国はイスラム国と対立するYPGを支援してきた。トルコが軍事作戦を始めると、フィンランドやスウェーデンはトルコへの武器輸出を止めています。そんな背景がある中、この北欧2カ国がNATO加盟を申請してきたことで、トルコを巡る風向きが一転。いまトルコは、NATOと米国、どちらからも制裁を受けずに、シリアに対し軍事侵攻ができる状態になっている。皮肉なことですが、武器輸出禁止の制裁を科してきた北欧2カ国がトルコを優位な立場にさせ、NATO内でのキャスティングボートをも握らせる結果になってしまったということです」(同)

「拒否権」を武器に米国やNATO諸国から、さまざまな譲歩を引き出すことを目論んでいるとされるトルコ。6月12日の「ロシアの日」を前に、プーチン‐エルドアン直接会談の中身が気になるところだ。

(灯倫太郎)

ライフ