石川県の馳浩知事が東京五輪の招致活動において、内閣官房報償費(機密費)を使って1冊20万円のアルバムを作成し、100人あまりのIOC委員に配布していたことを明かしたのは11月17日。その後、馳知事は「誤解を与えかねない不適切な発言であり、全面的に撤回する」とコメントを発表したが、この“大失言”は、国会での追及を含めてしばらく尾を引きそうだ。
そんな中、11月19日放送の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)に林芳正前外相が出演。馳知事の失言に関する発言が「エクストリーム擁護」「無理筋」と話題になっている。
口火を切ったのは立憲民主党の小川淳也税制調査会長。馳知事を「正直な人」としたうえで、「事実誤認に基づく発言とはとても思えない発言」と一刀両断。「月間1億、年間12億円」と言われる官房機密費について、「実態解明を進めてもらうきっかけを馳さんからもらった」「国会を含めて厳しく質していく必要がある」と追及の構えを見せた。
その後、発言を求められた林氏も「正直な人」と称し、「事実誤認に基づく発言」という撤回コメントについても「正直に言ってるんだと思います」と指摘してこう述べた。
「私、同期なんで。95年初当選組の…。長い付き合いですが、ちょっとサービス精神が旺盛なところがあって、聴衆を前にみんなを面白く沸かせよう、みたいなところがあってですね。ついつい言ってしまったんではないかと思いますが、本人が『事実誤認に基づく発言』だったと完全否定していますので、それはそれとして受け止めたいと思います」
小川氏と林氏はともに馳知事を「正直な人」としたが、その捉え方は全く異なる。機密費でIOC委員への贈答品を作ったのが真実なのか、事実誤認と全面撤回が真実なのか。いずれにしても、林氏の“擁護”には多くの視聴者が違和感を覚えていたようで…。
「林氏の主張が正しければ、馳知事は公の場でサービス精神を発揮して、会場を盛り上げるためにデタラメを話したことになります。問題となった会合の場では、故・安倍晋三元総理から『必ず勝ち取れ』『金はいくらでも出す』とまで言われたことを暴露。さらに20万円のアルバムについても、男子棒高跳び金メダリストのセルゲイ・ブブカ氏に渡したとも語っています。サービストークの範疇を超えていると言っていいでしょう」(政治ジャーナリスト)
馳知事の失言が官房機密費の闇を暴くきっかけとなるか。国会の動きから目が離せそうにない。