19年ぶりに女性外相となった上川陽子外務大臣(70)は、岸田派からの再入閣となった。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が説明する。
「総理の意図が見える人事ですね。日本に女性政治家が少ないことは、実は国内よりも諸外国からの方が批判の声が多い。そういう意味で、外務大臣のポストに女性を置けば、海外からの見え方がよくなります。加えて、岸田総理は『外交は自分がやる』という意識が強く、同派閥なら意思の疎通もしやすい、ということもあるでしょう」
さらに先の自民党関係者によれば、この人事には外務大臣歴の長い岸田総理の深謀遠慮も絡んでいるという。
「実は今、岸田総理と岸田派ナンバー2とも言われる林芳正前外務大臣(62)の関係が怪しくなっている。今の外務省はアメリカにべったりで、岸田総理はそれに乗っかるだけ。中国とも関係を良化させたい林とは方針が違うんだよ。ならば、とすげ替えた人が、派閥内でも林前大臣と並ぶ実績のある上川というわけだ。いわば、派閥の後継者を争わせることで両者とも自分の言うことを聞くだろう、と。ひとつ不安があるとすれば、法務大臣時代にオウム真理教信者ら16人を死刑にした上川が、人権問題にことさら目を光らせている国連から問題視される可能性はある」
入閣した女性閣僚で最年長の土屋品子復興大臣(71)にも、カネのスキャンダルが飛び出した。政治資金の私的流用疑惑が報じられたが、
「地元・埼玉でのあだ名は『何もしなこ』。正直、大臣未経験であろうが、女性であれば誰でもよかったんだと思います」(政治部記者)
仮に切り捨てられても大勢に影響はなさそうだ。残るは高市早苗経済安全保障担当大臣(62)だが、今年3月の総務省公文書の「捏造発言」で批判の矢面に立ったが更迭されず留任。そればかりか9月に入り、「クールジャパン戦略担当大臣」を兼務するなど、内閣でも重要ポジションを築く。
「政権支持率を考えれば、保守層のマドンナである高市大臣を外すわけにはいかない。それに岸田総理にとっては、総裁選を争うであろうライバル。総裁選に向けて水面下で動けないよう、閣内で飼い殺しにしたんでしょう」(前出・自民党関係者)
昨年は統一教会問題など閣僚の〝辞任ドミノ〟で支持率低迷を招いた岸田内閣。今回の内閣改造でも、上げ底女性閣僚にスキャンダルが噴火すれば、今度こそ木っ端みじんの自滅は免れない!
*「週刊アサヒ芸能」10月5日号掲載