カルロス・ゴーンが「政治家転身」を否定し続ける理由「ヒズボラに暗殺される可能性がある」

 この年末で密出国による逃亡劇から4年を迎える元日産社長のカルロス・ゴーン氏。現在もレバノンの首都ベイルートに住んでおり、9月からは名誉棄損で日産など3社の関係者12人を相手取り、10億ドル(約1500億円)の損害賠償を求める裁判が始まった。日本でも日産側が約100億円の損害賠償を求めた民事訴訟が行われており、いまだにゴーン氏の周辺は慌ただしい。

 ところで、そんなゴーン氏に逃亡前から囁かれているのが「政治家転身説」だ。今回の逃亡後にも、現地では大臣就任の噂が流れ、一部の欧米メディアも報じていた。

 ただし、レバノン政府からそのような依頼があったという事実は確認できておらず、本人も否定している。7月に行われた日本外国特派員協会主催のオンライン会見でも「政治家のキャリアには興味がないと、これまで何度も言ってます」と語っている。だが、政治そのものに関心がないわけではないようだ。

「水面下で何かしらのポスト就任の打診はあっとの情報もありますが、ゴーン氏が断ったと聞いています。おそらくレバノンでの政治家転身はリスクが高いと判断したのでしょう」(レバノン事情に詳しい大手紙記者)

 とはいえ、政財界やレバノン国民の中にはゴーン氏の政界入りを熱望する人も少なくなく、中には次期大統領候補に推す声もあるほどだ。

「レバノンはイスラム教とキリスト教合わせて18宗派が混在するモザイク国家で、20〜21年には機能不全で事実上の無政府状態に陥っています。そもそも政治システムに問題を抱えており、たとえゴーン氏が大統領になっても解決は難しいでしょう」(前出・記者)

 レバノンには武装勢力を持つ政党も多く、現在イスラエルと激しい戦闘を繰り広げるヒズボラもそのひとつ。昨年の選挙では、同組織を含む連立政党グループが過半数まであと一歩となる62議席を獲得している。ゴーン氏はキリスト教徒のため、政界入りすれば対立は必至だ。

「日産時代にはイスラエルにも訪問しており、両国の関係改善は期待できますが、ヒズボラは当然反発するでしょう。最悪、暗殺の可能性だってある。それは彼も理解しているはずです」(前出・記者)

 とはいえ、4年前の逃亡劇には誰もが驚かされたものだ。政界転身で再び世界をあっと言わせることも、ゴーン氏なら十分にあり得る!?

ライフ