手記で巨額印税、16億円差し押さえ…カルロス・ゴーン「逃亡1年」の収支報告

 金融商品取引法違反容疑で逮捕され、保釈中だった2019年12月下旬に偽造パスポートを使って日本を脱出。トルコ経由で“第二の母国”と言われるレバノンへの帰還を果たした日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告。ハリウッド映画化の噂もある世紀の逃亡劇から間もなく1年を迎えようとしている。

 11月には国連人権理事会の「恣意(しい)的拘禁に関する作業部会」が彼の4度にわたる逮捕・拘留について「根本的に不当」としており、今なおレバノン滞在中のゴーン自身も日本当局の対応を激しく非難している。

 だが、新型コロナウイルスの影響もあって本人の動向が報じられることは少ない。現在はどのように過ごしているのだろうか?

「ニュースなどで映像や画像が流れたベイルートにある自宅ではなく、同市内の高級ホテルのスウィートルームで生活しています」

 そう話すのは、現地事情に詳しいジャーナリスト。経営者だったころのような過密スケジュールとは違って、のんびりした日々を過ごしているという。

「11月に手記『真実のとき』を出版し、日本ではまだ発売されていませんが、海外では売れ行きが好調。自身の逮捕がいかに不当であったかを訴える内容になっており、少なくとも数億円の印税を手にするはずです」

 しかも、3月には第2弾の手記を出版する予定で、今はその準備にあたっているとか。

「レバノンにはスキー場などがある山岳リゾートもあり、そういった場所にも滞在しながら悠々自適に暮らしているみたいです。でも、経営者として表舞台に返り咲く可能性は低いでしょうね。すでに彼も66歳、海外ではその能力は未だに高く評価されていますが、外資系企業の経営者としては歳を取りすぎているからです」

 しかし、隠居生活といっても資産は激減しているとの噂も。二度の保釈時に納付した計15億円の保釈金は当然ながら没収となり、先日もフランスで16億円相当の資産を差し押さえられたと報道された。

「目減りしているのは確かですが、それでもまだ50億円を超える資産はあります。投資も手広く行っているようですし、余程のことがなければ一生食うには困りません。国際指名手配の身ですが、レバノンは政情的に不安定ながらも岡本公三ら元日本赤軍メンバーの亡命を受け入れている。政変が起きれば別ですけど、国に留まっている限りは安泰です」

 会長職を務めた自動車メーカーは100億円の損害賠償を求める訴えを起こしているが、支払いを命じられたとしてこれに応じる可能性は低い。収支はマイナスとなっても、逃げ得となってしまったようだ。

(高島昌俊)

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