ロシア要人を「殺害工作」ウクライナ情報機関をCIAが支援していた!米紙が報道

 昨年2月に始まったウクライナへの侵攻以降、ロシア国内では、40人近い政府関係者や大物オリガルヒなどが謎の死を遂げており、それらすべてを指示してきたのが、プーチン大統領ではないかとされてきた。

 しかし、中には反プーチンを掲げる人間だけでなく、親プーチンとされる人物らも含まれていることから、彼らの謎の死には、ロシア国内にいる反プーチン勢力組織か、あるいはウクライナの情報機関による関与が取りざたされてきた。

「特に、昨年8月に発生したプーチンの頭脳と呼ばれるロシア極右思想家、ドゥーギン氏の娘ダリア氏が、モスクワ郊外で運転中に爆死するという事件は、ウクライナ保安局(SBU)の仕業ではないのかと噂されてきましたが、ウクライナ側はこれを完全に否定。結局、その後も犯行グループの特定には至っておらず、ほかの暗殺事件同様、闇の中に消えていくのではないかと思われていました」(ロシアウォッチャー)

 ところが、米紙ワシントン・ポストが23日、ウクライナや米欧当局者の話として、ウクライナの情報機関がロシア当局者や協力者を標的にした多数の暗殺を計画・実行し、そのウクライナ情報機関をバックアップしてきたのが米CIA(中央情報局)だと報じ、波紋が大きく広がっている。

「記事によれば、CIAはロシアによるクリミア半島併合を受け、2015年以降、ウクライナ情報機関の諜報能力強化のために多額の資金を投じ、最新の監視システムを提供し、同時に要員を訓練するなどして長年にわたり支援してきたといいます。昨年8月にドゥーギン氏を狙ったとみられる爆発事件、また、今年5月に起こったクレムリン大統領府へのドローン攻撃、そして7月の黒海艦隊潜水艦の元艦長の射殺事件など、これらを計画実行したのがウクライナ国防省情報総局の指示を受けた保安局(SBU)だと報じています。米当局者は同紙の取材に対し、個別の工作についてCIAによる関与はないとしていますが、この報道が事実であれば、これまでロシア国内における要人らの不審な死にも、ウクライナの情報総局が何らかの形で関与していた可能性があるということ。であれば、その技術を授けたのはCIAだということになります」(同)

 5月のクレムリンへのドローン攻撃では、ロシア側が2機を撃墜したものの、完全にプーチン氏を狙ったピンポイント攻撃だったと思われる。

「当時、ウクライナのポドリャク大統領補佐官は『ウクライナはロシアのような犯罪国家でもなく、テロリスト国家でもない。したがって今回の事件とは全く関連がない』と一蹴していましたが、今回の報道でその弁明も怪しくなってきた。とはいえ、国際舞台では情報を制する者が優位に立つのが常識。ワシントン・ポスト紙の報道どおりなら、情報戦ではウクライナがロシアをリードしているということでしょう。今後もウクライナによる“工作”が実行される可能性は高いでしょうね」(同)

 まさに映画を地で行くようなスパイ劇だが、こんな血で血を争う不幸な戦いがいつまで続くのだろうか。

(灯倫太郎)

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