さて、渋野のシンデレラ・ストーリーに刺激を受けたのが、若手ゴルファーたちだ。東京五輪出場争いが一気に激化する中、すでに渋野はJOCの強化指定選手と同様の待遇が検討されている。
「女子は来年6月末時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイントで決まります。日本は前回のリオ五輪同様に代表枠は2つで、現在の世界ランク10位の畑岡奈紗(20)と17年の賞金女王で同28位の鈴木愛(25)でほぼ決まりとみられていた。だが渋野が全英女子でクイーンに輝き、世界ランクを14位までアップさせたことで、事情が一変しました」(スポーツ紙デスク)
整理すると、世界ランクの15位以内に入っていれば、各国最大で4人までが五輪に出場できる。つまり、畑岡と渋野が今の成績を維持し、鈴木も15位以内までランクアップすれば3人出場となる。一方で、畑岡と渋野のどちらかでも15位以下に落ちれば、3人で2枚のチケットを争うことになるのだ。
「現在3番手の鈴木自身、『国内ツアー3勝して賞金女王になれば(渋野に)追いつく』と、目の色が変わった。まだ1年あるにもかかわらず、かなりピリピリしてきました」(ゴルフライター)
ここで押さえておきたいのが、米ツアーと国内ツアーの1勝の重みの違いである。
「大会に出場するメンバーしだいですが、国内ツアーの1勝を基準にして、おおむね国内メジャーが1.5倍で、米ツアーの1勝は3倍から4倍、米メジャーであれば6倍にも換算される。優勝と2位の差を見ても、例えば渋野が準優勝であれば、世界ランク25位ほどだった。6月の全米女子オープンで比嘉真美子(25)は初参戦で5位でしたが、ポイント的には国内ツアー1勝分に相当します」(ゴルフライター)
世界ランク65位で、日本人8番手の成田美寿々(26)でさえ、日の丸を背負う夢を諦めていない。
「8月に国内ツアーに勝利したあと、国内ツアー通算13勝中9勝が逆転劇という成田らしく、『あと4〜7勝すれば行けると思う』と、大きな目標を掲げていました」(民放局スタッフ)