ドラッグストアチェーンを展開するスギホールディングス(HD)の創業者である杉浦広一会長と昭子相談役夫妻に対するブーイングが収まらない。新型コロナウイルスのワクチンを優先的に接種させるよう愛知県西尾市の近藤芳英副市長が便宜を図っていたことを認めた問題で、同社は秘書の使命感によって起きたことと経緯を説明したが、ネット上では《苦しい言い訳》と批判が殺到している。
「11日、会長らにコロナワクチンの便宜を図っていたとの報道を受け、西尾市の中村健市長、近藤副市長、簗瀬貴央市健康福祉部長の3人が会見を開き、『会長夫婦にはさまざまな形で市に支援を頂いております。何らかの形でお返しができないかと…』と便宜が事実であること認めました。また、『秘書の方の口調がかなりしつこく、再三にわたり要請があった』といい、『断りたかったというのが本当のところですが、要請の範囲をはるかに超えていた』と秘書のしつこい要請があったことも明らかにしたのです」(社会部記者)
これにスギHDはお詫びのコメントを発表したものの、会長は「過去にアナフィラキシーショックを経験しており、ワクチン接種は希望しておりません」とし、相談役が肺がんを患い大きな手術を経験していることから使命感に駆られた秘書が個人の判断で「西尾市役所様にお問い合わせをさせていただいた」と経緯を説明したのだった。
「スギHDの説明にネット上では疑問の声が相次いでいますが、大企業の秘書が何の相談もせずに、しかも圧力を掛けるような行為を単独でするとは思えません。同社は19年に経営統合を打診していたココカラファインをマツモトキヨシホールディングスに奪われてしまったものの、コロナ関連商品や巣ごもり商品の売上が伸びたことで21年2月期(20年3月1日~21年2月28日)は純利益が211億円と過去最高を記録しています。熾烈な競争を繰り広げるドラッグストアストア業界の中、売上トップ5に食い込むチャンスでしたが、ワクチンのキャンセル待ちが発生している状況での今回の一件は印象が相当悪く、経営に大きな打撃を与える可能性もあるのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)
スギHDの転落の始まり…と、ならなければいいが。
(鈴木十朗)