立浪竜の救世主となるか? 去る8月17日、中日2軍戦にセ・リーグ各球団のスコアラーが熱視線を送っていた。
メジャー通算228試合登板、4年連続40試合以上の登板実績を持つ新外国人投手マイケル・フェリス(30)が阪神2軍との一戦に登板したのだ。
「こんな言い方はなんだけど、ペナントレース終盤戦に向けて、中日戦で“取りこぼし”はしたくありません。優勝争いをしているチーム、CS進出の可能性のあるチームはとくにそう。中日には絶対的守護神のマルティネスがいます。そのマルティネスにつなぐ強力なセットアッパーが加わるとなると厄介なので、チェックしておかないと」(在京球団スタッフ)
フェリスは1回を投げ、パーフェクトに抑えた。常時150キロ超え、速くて強い直球をガンガン投げ込んでいた。MLBでのキャリアはホンモノだった。各球団は「フェリス=要注意」とみなしたが、同時にこんな疑問の声も。
「これだけのピッチャーがなぜ、マイナーでくすぶっていたんだろう?」
若くしてMLBのマウンドに上り詰めたので、その勤続疲労のようなものがあったのだろう。しかし、フェリスには「苦手」もあったらしい。
「MLBでリリーフ投手を総動員させる『オープナー』が流行し、2019年、フェリスも短いイニングではありますが、先発登板したことがあります。気持ちの問題だと思いますが、彼の場合、オープナーで登板すると、別人になってしまうんです」(米国人ライター)
また、プロ入り時の2010年のことであるが、禁止薬物使用で入団がご破算となったこともあった。猛省し、そこから這い上がってきた精神力は認めなければならないだろう。
「フェリスの長所は、イニング途中からの救援成功率が高いこと。前の投手が出した走者を生還させないという意識が強いんです」(同)
17年のアストロズのワールドシリーズ制覇メンバーでもあるが、当時のフェリスは得点圏に走者を背負ったピンチの場面で登板する機会が多かった。優勝争い、1点を巡る攻防。そんな場面で光るリリ−バーのようだ。
中日はフェリスのモチベーションを高めるような試合ができるのだろうか。
(飯山満/スポーツライター)