この一戦は「ポスト栗山」にも影響してきそうだ。“U-12のWBC版”とも言える「第7回WBSC U-12ワールドカップ」が開催され、日本代表は4位。メダル獲得とはならなかった。
同代表チームを率いた井端弘和監督は若い選手たちの健闘を讃えていたが、同時に聞こえて来たのが侍ジャパンの新監督問題。栗山英樹監督の後任人事である。
「8月下旬にU-15の大会が控えています。この15歳以下の大会を終え、ひと段落がつく8月下旬か、遅くとも9月半ばまでには新監督を発表できればと思っています」(球界関係者)
侍ジャパンこと、野球・日本代表チームを運営してきた株式会社NPBエンタープライズは、今年3月のWBC大会終了時ではなく、8月のU-12、U-15大会までを“区切り”と捉えてきたそうだ。
一部報道によれば、ソフトバンクで7年間の指揮を執り、優勝3回、日本一5回の工藤公康氏が最有力と伝えていたが、「井端さん、安定しているよね」(同前)という話も聞く。金メダルを獲得した東京五輪の代表チームではコーチ、強化本部で編成担当も務めており、井端氏のNPBエンタープライズ内での信頼はバツグンのようだ。
「今回、U-12では元中日の吉見一起氏が投手担当のコーチを務めました。技術的な指導はプロ選手よりも子供たちに教えるほうがある意味難しいんです。井端、吉見両氏を高く評価する声が多く聞かれました」(在京球団スタッフ)
両中日OBが新生・侍ジャパンの重要どころを任される可能性も高い。
中日といえば、第2回WBC大会を“集団辞退”し、代表チームに協力的ではないイメージもあった。だが、前出の関係者によると、中日球団が選手を派遣しなかったのではなく、選手たちが北京五輪での理不尽な起用法に疑問を感じ、「出たくない」となったそうだ。
「選手が断るとメディアからも叩かれるので、球団がまとめて辞退の旨を連絡しました。代表チームが選手に配慮しなければならないこと、指揮官、コーチがミーティングと違う作戦をとる場合、どこまでなら許されるのかなどをいちばん分かっているのは、当時の中日選手たちです」(前出・球界関係者)
U-12大会を経て、新生・侍ジャパンで中日OBが要職に就く可能性が高まった。
(飯山満/スポーツライター)