「ポスト森保一」は誰だ? 次期サッカー日本代表監督の「有力2候補」

 W杯イヤーの8月。いつもなら新しい監督が決まって、9月の強化試合に向けて新生日本代表がスタートを切る時期だ。

 それが今回は、カタール開催ということで気温40度を超える6月、7月を避け、過ごしやすい11月開幕となった。つまり、4年後のW杯に向けての始動が半年遅れることになる。W杯が閉幕したあと、最初に強化試合を組める国際Aマッチデーは来年3月末だ。

 そこで重要になってくるのが、次の代表監督人事。サッカー協会の田嶋幸三会長は次期監督候補について「日本を熟知している人なら国籍を問わない」と発言しているが、半年以上もスタートが遅れることを考えれば、外国人監督ではリスクが大きい。「ポスト森保」は日本人監督になる可能性が高い。

 では、その候補は誰か。日本代表の課題は決定力。守備はある程度計算できるが点が取れない。攻撃力を改善できる監督でなければならない。そうすると候補は2人に絞られる。名古屋グランパスの長谷川健太監督と川崎フロンターレの鬼木達監督だ。

 長谷川監督は05年に古巣・清水エスパルスの監督に就任すると、低迷するチームを優勝を争うまでに成長させた。13年、当時J2にいたガンバ大阪の監督に就くと、1年でJ1に復帰させ、J1復帰初年度にいきなり3冠(リーグ、ナビスコカップ、天皇杯)を獲得。18年からのFC東京時代もルヴァン杯優勝と、実績は文句なし。田嶋会長とは筑波大学の先輩後輩であり、反町康治技術委員長も清水東高の2年先輩だ。協会とのコミュニケーションは問題ない。

 ただ、長谷川監督は名古屋の監督に就任して1年目。守備重視のチームを少しずつ攻撃的なチームに変えている段階。今夏には愛弟子の永井謙佑をFC東京から獲得したばかり。代表監督に就任する可能性は薄い。

 一方の鬼木監督は、17年に川崎の監督に就任以来、攻撃的なサッカーでJ1優勝4回、天皇杯、ルヴァン杯もそれぞれ1回、優勝している。これだけの実績を残している監督を川崎が簡単に手放すとは思えない。

 しかし今季の川崎は、初のアジア王者を目指していたアジアチャンピオンズリーグで予選敗退。天皇杯もルヴァン杯も敗退。鹿島以来の3連覇がかかっているJ1リーグも苦戦している。もし、このまま無冠に終われば、いくらクラブが引き留めても、鬼木監督が責任を取って辞任する可能性はある。フリーになってくれれば協会としては渡りに船だ。

 4年後の日本代表は、三笘、田中碧、守田といった鬼木監督の愛弟子たちが中心になる。課題だった攻撃力も解消できるのではないか。

(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

 

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